Embrace it all―すべてを抱いて、生きていく―


「これ……」

 左手を見る。



 桜の指輪。

 もう一度、新しいリングを見る。




「もしかして」


 胸が震えた。



「これ……重ねられるの?」


「そうだ」

 即答だった。
 
「…………」


 言葉が出なかった。


 亞紗斗さんは続ける。


「梨歩の指輪に合うように作ってもらった」

「…………っ」

「店で何度か調整した」

「何度か?」

「ああ」

「わざわざ?」

「当然だ」
 

 当然。

 その言葉に、涙が滲んだ。


「どうして……」


 分かってる。

 聞かなくても分かる。

 でも、聞きたかった。



「どうして、この形にしたの?」

 亞紗斗さんが、あたしの左手を見る。

 桜の指輪。