穢れた龍神と生贄の花嫁

 急に美しいと言われ、驚いた水夜の涙は止まってしまった。今まで美しいなどと言われたことのない水夜の顔は次第に赤くなっていく。

「はは、可愛らしい反応をするんだな。嫌いではないぞ」
「なっ、えっ!?そんな、私が美しいわけありません!むしろ美しいのは龍神様のほうです、からかわないでください!」

 顔を真っ赤にして言う水夜を見て、龍神は楽しそうにくつくつと笑う。それから、なぜかすぐに真剣な顔になった。

「お前は居場所がないのだな?この世からいなくなりたいと思うほどに」
「は、はい」

 水夜は龍神の言葉に俯き、小さく頷く。

「だったら、俺と一緒に来ないか」
「……?それは、龍神様に食べてもらえると言うことですか?」
「ああいや、……そうだな、花嫁として来るのだから、いずれは違う意味でお前を食らうことはあるかもしれないが」
「……?」

 龍神の言っている意味がよくわからない水夜は、不思議そうに首を傾げた。そんな水夜を見て、龍神はフッと微笑む。

「とにかく、花嫁として俺と一緒に俺の住まう神域に来ないかと言っているんだ」
「わ、私が、神域に!?私は神力を持っていません。そんな私が、龍神様の住まう場所になんて……!」

 水夜は驚いて目を見開き、苦しむように首を大きく横に振る。だが、龍神は優しい眼差しを向けて微笑んだ。

「神力を持たずとも、その美しさがあれば何も問題ない。何より、俺はお前が気に入った。神は美しいものを好む。それは見た目に限らず、存在そのものだ。お前の側は居心地がいい。それだけでは不満か?」
「……!」

(龍神様が、私を、気に入ってくださった?こんな私を?)