穢れた龍神と生贄の花嫁

「どうして命を粗末にする!俺の前でそんなことするのは許さんぞ」
「え、……龍神、様……?」

 見開いた水夜の瞳から、いつの間にかボロボロと大粒の涙がこぼれていた。それを見て龍神は悲し気に微笑み、水夜の前にしゃがむ。

「辛かったのだな。急に怒って悪かった。だが、やはり目の前であんなことをされるのは許せぬ」

 そう言って水夜の目元を指で撫で、涙をすくう。

「龍神、様、ごめ、……なさい……っ」
「悪いのはお前ではない。お前をそのように扱って来た家の者たちだ。お前は何も悪くない」

 そう言ってから、ふと龍神は指先に残った水夜の涙をしげしげと見つめる。指先につく涙は日の光に照らされてキラキラと輝いていた。

「お前の涙は美しいな。先ほどは激昂して気がつかなかったが……」
「?」

 水夜が不思議そうに龍神を見つめると、水夜の顎に龍神の手が添えられ、クイッと上を向かせられる。そして、龍神と目が合った。

(なんて綺麗な瞳……)

 水色の瞳は宝石のように美しく、透き通っているかのようだ。

「ふむ、お前、美しいな」
「……えっ?」