水夜は懐から一つの玉かんざしを取り出す。それは、水夜が生まれた日に両親から与えられた、たったひとつのプレゼントだった。
(神力が現れるはずの五歳までは、このかんざしをよくお母様が髪にさしてくれた。でも、五歳になっても私には神力は現れず、翌年珠奈に神力が現れた途端、私には目もくれなくなった)
水夜は両手でかんざしをつかみ、鋭くとがった軸の先端を自分の喉元に向ける。
(これで喉を一突きすれば、私はもう解放される)
神様の前でこんなことをするのは失礼かもしれない。だが、そんなふうに思いめぐらせることもできないほど、水夜は追い詰められ自暴自棄になっていた。
ふと、異変に築いた龍神が振り返り、水夜を見て驚く。
──水夜、何をしている!
「龍神様、申し訳ありません。死なせてください」
──馬鹿者!
龍神がそう言うと龍神の体が光り輝き、その光の中で姿が消えていく。次の瞬間、水夜の目の前に人が現れ、水夜の手からかんざしを奪った。
「きゃっ!」
美しい銀色の髪を緩く一つに束ね、濃い青緑色の着物を着た水色の瞳の美しい男がいる。水夜は驚いて目を見開くと、腰が抜けたようにその場に座り込んだ。
(神力が現れるはずの五歳までは、このかんざしをよくお母様が髪にさしてくれた。でも、五歳になっても私には神力は現れず、翌年珠奈に神力が現れた途端、私には目もくれなくなった)
水夜は両手でかんざしをつかみ、鋭くとがった軸の先端を自分の喉元に向ける。
(これで喉を一突きすれば、私はもう解放される)
神様の前でこんなことをするのは失礼かもしれない。だが、そんなふうに思いめぐらせることもできないほど、水夜は追い詰められ自暴自棄になっていた。
ふと、異変に築いた龍神が振り返り、水夜を見て驚く。
──水夜、何をしている!
「龍神様、申し訳ありません。死なせてください」
──馬鹿者!
龍神がそう言うと龍神の体が光り輝き、その光の中で姿が消えていく。次の瞬間、水夜の目の前に人が現れ、水夜の手からかんざしを奪った。
「きゃっ!」
美しい銀色の髪を緩く一つに束ね、濃い青緑色の着物を着た水色の瞳の美しい男がいる。水夜は驚いて目を見開くと、腰が抜けたようにその場に座り込んだ。
