私は明日も、あなたに落ちていく

恋はしない。



たとえ、好きな人ができたとしても。


いつか必ず終わりが来る。





……怖かった。

 誰かを好きになっても、いつかそうでなくなる日が来るんだって。

いつも終わりを連想しては、私には無理だって決めつけてた。

 もっと素直になれたら、どんなに楽だろうって思った時期もあった。

 でも、今の私は――たとえどんな終わりが来たとしても……エディさんのそばにいたい」








失う悲しみを背負ってでも――一緒にいたいと思えた人は。



「君が、好きだ」


あなただけだった。






どこまでも優しくて、甘い。

あなたといると、心が温かくなる。


あなたが隣にいるだけで、すべての脅威から守られているような、不思議な安心感がある。


まっすぐで、誠実で。


いざという時には、毅然と立ち向かえる頼もしさも。


儚げなようで、強靱な。


柔らかいけど、時折見せるワイルドさも。


私があなたに落ちて行くには充分すぎた。



こんなにも、身も心も「捧げたい」と思ったのは、

あなたが初めてだった。







――終わらせない

 


――これからは、僕が君のそばにいるから
 

――僕じゃ頼りないかもしれないけど、君を悲しませるようなことは絶対にしないって約束する。だから……



――僕と、付き合ってくれないか
 









恋を知らない私は……恋を知りたくても、知るのが怖い私だと気づかせてくれた。



私は、恋がしたくなかったのではなく。


私を心から好きだと言ってくれる人と、恋がしたかったんだ。







――すごいなぁ。人のためにそこまで尽くせるなんて。ますます好きになっちゃうよ。



――大丈夫。きっと、大丈夫だから。


――行こう。どこの病院?









会うたびに、好きだと言ってくれる。

会うたびに、抱きしめてくれる。

会うたびに、私のペースに合わせてくれる。

あなたに大切にされていると思うほど、

私はあなたに、惹かれていく。






初めてのキスも。

初めての抱擁も。

初めての、夜も。




全部、あなただから受け入れられた。





あなたが私を求めてくれるから、

捧げたいと思えた。

応えたいと思えた。




あなたが私を大切にしてくれるように、

私もあなたを大切にしたいと思えた。


これが恋なのか、愛なのか。


まだ、その感情を語るには幼すぎると思うから。


今は、私も。








「ねぇ、若葉ちゃん」

「うん?」

「あの場所にも、行ってみない?」
 
 あなたとの時間が、始まった場所へ。

「うん、行きたい」



 彼も、同じ気持ちでいてくれるのだろうか。



 私は今日、再びあなたとこの場所を訪れた。
 

 今度は、恋人同士として。



 恋人つなぎをしながら、その場所へ向かう足取りは、以前よりも軽く感じた。


 それでも、あなたは私に歩幅を合わせて歩いてくれる。

 
 彼の優しさが、やけに沁みて――

 


 夕日はもう沈んでしまった後だったけど、まだ少し、オレンジの暖かな空間が残っている。


「ありがとう、エディさん」

「え?」

「私を、ここまで連れてきてくれて」



 私は、あなたが見せてくれたこの景色を忘れない。



 忘れたくない。
 


「若葉ちゃん」



 あなたの広くて、温かい腕に包まれた私は、引き寄せられるように深く、深く――口づけをした。



「エディ、さん」



 あなたにぎゅっと、抱きしめられるたびに――

 

 もっとあなたにが触れたくなる。


 離れたくなくなる。





 不器用で、恋に臆病だった私が――あなたとの未来を想像するだけで、胸が熱くなった。


 たとえどんな終わりが来たとしても。



 それでも、この先何年、何十年と続いていく未来に、私がそばにいて欲しいのは――



あなただけ。








「若葉ちゃん、大好きだ」

「私も、大好き」



鐘の音が、また聞こえた。





何度も、何度も、思いを重ねて。

何度も、何度も、誓う。




私は、今も、これからも。

あなたを好きで居続けたい。




私は今日も、これからも。



あなたに恋することを、恐れない。








「エディさん……」

「ん?」

「大好き……」



 あなたが導いてくれた世界で。




「若葉ちゃん……」

「たまには、私からしても……いいでしょ?」

「……それは、反則だよ」




 あなたをもっと、感じたい。



「あ……」

「もう、絶対に……離してあげないから」



 そして、どうか。


 あなたにも、もっと私を――感じて欲しい。




 私は今日も、明日も、この先もずっと。


 きっと、もっと、あなたに落ちていく。





      あなただけに、落ちていく――