私×0.5+わたし×0.5=◎


あまり活字を読むタイプでは無かった為、最初に気がついたのは、深夜にゲーム実況動画をぼんやりを眺めているとき、下に流れたテロップがぐにゃりとぼやけて見えた時だ。

しなびた野菜のように、本来の姿を失って転がっていた。
なんだあれ、と凝視していると、頭が痛くなり、ベッドに横たわる。
スマホの通知音が鳴って、わたしはそれに手を伸ばした。
たぶんトールからのLINEだ。
それに返事をしようと携帯を手に取った。
アプリを立ち上げて。

今日■楽■■■■■。早■寝■■■■!透■■愛■■■

チェーンメールみたいなのって届くのかなと、一瞬だけ思ったけれど、アイコンは、確かにトールのものだった。

わたしはなんだよ、と思いながら返事をしようとする。
けれど、キーボードを何回押しても、ぐにゃぐにゃした塊が浮かぶばかりで、どれが『お』になるのか判別できない。
わたしは単に『おやすみ!』って打ちたいだけなのに。
目がおかしくなったのだと思って、スマホを伏せるとベッドに潜り込む。
明日になったらきっと元に戻っている。
トールに付き合って、パチスロの数字がぐるぐる回るのを必死で見ていたからだろう。

それなのに、翌日になっても、その次の日になっても、ひらがなやカタカナは復活しない。
何日もトールからのメッセージに既読だけつけて返事を返していなかったら、トールは少し怒ってバイト先の裏口で待ち伏せしていた。

わたしはトールに、スマホをトイレに落っことしちゃったと嘘を付いた。

クリスマスデート用のプレゼントを買うお金を考えると、親に頼んで新しいスマホを買うのも気が引ける、と嘘を重ねた。

事実、スマホは特別壊れたわけでもなくそこに存在していて、メッセージを受信しつづけている。
ただ私から送信できないだけで。