◇◇◇
「咲空、今日は何をしましょう?」
「楠!」
あれから4つの季節が巡ってもう一周しようとしているある日のこと、咲空が城の縁側に座っていると楠がやってきた。
幼馴染と婚約者が離れてから咲空の元にはほとんど毎日楠がいた。
楠が顔出してくれたおかげで沈んでいた気持ちも浮上して前に向ける。
「今日は神社へ行こうと思うの。ほら、もう1年経ったでしょう?2人の安全を祈って神社に奉納を」
「神の祝福受けた咲空の舞を見られるなんて楽しみですね」
「他の人も上手なんだよ。神様からいただいた力は植物を操る力以外にもあるんだけど、有名なのは敷島。敷島に住む一族は2つ使えるんだって」
咲空は一つしか使うことができない。それに神から力を与えられている一族はこの日の本でもほんのわずか。
2つの力はどのように使うのだろう。きっと咲空の力のように綺麗なものなのだろう。
まだ会ったこともない人に思いを寄せていると
「敷島にはわたくしたちと同じくらいの姫がいらっしゃるそうですよ。お名前は桜様。東国の美姫と呼ばれるほど美しい上に住民に思いで慕われてるそうですよ。今度行ってみたいですね」
「楠は物知りだね」
「そんなことないですよ。たまたま兄からの手紙に書いてあったので」
ほら、と言うように楠は手元の巾着から便箋を取り出す。それも一通だけではない。これまで毎月のように送られて来たお手紙である。
「毎月のように送って下さるのであちらの状況は把握できてしまうんですよね」
「蓮とは連絡を取っているみたいだけど、三春の方は大丈夫?」
ずっと一緒にいるが、楠は隣国のお姫様である。
一度も実家に帰っていないようだが、連絡はきちんと取ってあるのだろうか?
「大丈夫ですよ。お兄様はともかくわたくしの代わりはいらっしゃいますから」
「代わり?」
「ええ。わたくし一人いなくても三春に支障はございませんから」
日常会話のように言っているが、何も事情を知らない咲空からすれば重い話である。
何かしら言えない事情があるのだろう。
「楠、わたし先に言って準備してくるから!」
「ではもうしばらくしたら神社に足を運びますね」
楠が用意してくれたお茶を手短に片づけると咲空はその場を離れた。
残された楠は手元から咲空に一度も見せたことのない白の手紙を取り出す。
楠はごっそりと感情を抜けた顔で一通の紙を音を立てて握りつぶした。
「咲空、今日は何をしましょう?」
「楠!」
あれから4つの季節が巡ってもう一周しようとしているある日のこと、咲空が城の縁側に座っていると楠がやってきた。
幼馴染と婚約者が離れてから咲空の元にはほとんど毎日楠がいた。
楠が顔出してくれたおかげで沈んでいた気持ちも浮上して前に向ける。
「今日は神社へ行こうと思うの。ほら、もう1年経ったでしょう?2人の安全を祈って神社に奉納を」
「神の祝福受けた咲空の舞を見られるなんて楽しみですね」
「他の人も上手なんだよ。神様からいただいた力は植物を操る力以外にもあるんだけど、有名なのは敷島。敷島に住む一族は2つ使えるんだって」
咲空は一つしか使うことができない。それに神から力を与えられている一族はこの日の本でもほんのわずか。
2つの力はどのように使うのだろう。きっと咲空の力のように綺麗なものなのだろう。
まだ会ったこともない人に思いを寄せていると
「敷島にはわたくしたちと同じくらいの姫がいらっしゃるそうですよ。お名前は桜様。東国の美姫と呼ばれるほど美しい上に住民に思いで慕われてるそうですよ。今度行ってみたいですね」
「楠は物知りだね」
「そんなことないですよ。たまたま兄からの手紙に書いてあったので」
ほら、と言うように楠は手元の巾着から便箋を取り出す。それも一通だけではない。これまで毎月のように送られて来たお手紙である。
「毎月のように送って下さるのであちらの状況は把握できてしまうんですよね」
「蓮とは連絡を取っているみたいだけど、三春の方は大丈夫?」
ずっと一緒にいるが、楠は隣国のお姫様である。
一度も実家に帰っていないようだが、連絡はきちんと取ってあるのだろうか?
「大丈夫ですよ。お兄様はともかくわたくしの代わりはいらっしゃいますから」
「代わり?」
「ええ。わたくし一人いなくても三春に支障はございませんから」
日常会話のように言っているが、何も事情を知らない咲空からすれば重い話である。
何かしら言えない事情があるのだろう。
「楠、わたし先に言って準備してくるから!」
「ではもうしばらくしたら神社に足を運びますね」
楠が用意してくれたお茶を手短に片づけると咲空はその場を離れた。
残された楠は手元から咲空に一度も見せたことのない白の手紙を取り出す。
楠はごっそりと感情を抜けた顔で一通の紙を音を立てて握りつぶした。



