数日後、咲空にかばってもらったことが原因で晴の居場所は
「お疲れ様!」
「まだ完全に回復していないのにやるなんて無茶し過ぎるなよ?」
「少し休憩しませんか?」
絶対に入ることがないと思っていたところにあった。
そして、周囲の会話から三人の正体も把握。
優しく声をかけてくれる咲空はこの国を治めている当主の一人娘。
怪我の心配をする蓮は隣国である三春を治める次期当主筆頭候補。
上品で知的な楠も三春出身の姫。
(こんなところに僕がいても良いのか)
一国の主を継ぐ高位な3人に少しでも近づくため、そして一人の姫のために死ぬ気で鍛錬をしているが、まだその道は遠そうだ。
「晴の剣技ってすごく上手だね!」
「そんなことないですよ」
「謙遜もほどほどにしておけ。あの仏頂面のじじいに褒められているだ。実力を認めろ」
「お兄様、指南役をじじいと呼ぶのは失礼ですよ。晴の練習が実を結んできましたね」
「言い過ぎですよ、楠様」
(これくらいで慢心してはいけない。もっとやらないと......!)
楠が用意してくれた茶菓子に手を触れず、次のことを考えていると口の中に甘い物が入って来た。
「⁉」
「美味しいでしょ?楠って料理が凄く上手なんだよ」
繊細な練り切り。
白あんの上品で優しい味わいは口の中で溶けていってしまう。
「こんなに美味しいお菓子、はじめて食べました!」
「嬉しいこと。これからも作ってきますね」
「お前、楠の手作り菓子で惚れたのか?なあ?」
楠が手を口元に当てて上品に笑っている姿に妹馬鹿の蓮のセンサーに触れてしまったみたいだった。
「一国の姫様に惚れるなんてそんな恐れ多いことできませんよ!なので、その......ぶっそうな拳を下ろしてくださるとその......とても嬉しいのですが......」
ぶっちゃけ言ってしまうと、晴よりも線が細くて武芸に通じていないこの男の拳を避けた上で一発殴るくらいできる。
だが、これまで言われっぱなしの晴には誰かの攻撃を避けてやり返すことができなかった。
「お兄様!何やっているのですか⁉本当に兄が失礼いたしました。ほら、お兄様、謝って下さい」
「いや、これは......」
慌てて仲介に入った妹に叱られたじたじになっている兄。
先ほどまでの攻撃的な様子はどこにも感じられない。
「お・に・い・さ・ま?」
「......すまなかった」
妹の圧に負けて謝罪する兄。
妹の言いなりとなってしまっている。
「別にこれくらい大丈夫ですよ。楠様の心配からのようですし」
「大丈夫じゃなわけないでしょ!殴られそうになることに慣れちゃだめ!大体ろくでもない理由だから、理由なんて気にしなくていいの」
「そういうものですか?」
自分のことでもないのに悲しそうな顔をする咲空の理由に晴は理解できなかった。
だが守りたい女の子が自分のせいで悲しい顔になるのが嫌。それだけの理由で自分のことをちゃんと見ようとする。
「お前っ⁉もっと自分の体に関心をむけろよ!全く......。ほら手を出せ」
「分かりました」
「⁉てっきり断ると思ってしまいましたが......。何か心境の変化でもあったのですね」
ちらっと咲空を見つめて楠はこの状況を納得したようだった。晴の方が少し大きいのに内面には大きな差があったらしい。これでは冷静に見守っている楠のほうが年上である。
妹に言われっぱなしで兄らしいことがない蓮はまた傷だらけになった晴の手に軟膏を塗る。
これだけなら兄というより立派な医者に見えなくもない。妹馬鹿で言葉遣いが悪いところを除けば。
「木刀を握れることが不思議なくらいだな。痛くはないのか?」
「痛くないとはどういうことでしょうか?木刀を持つ時はどんなときも痛いのでは?」
木刀を握ってからというものの手は肉刺だらけになって、刀を振る度に肉刺が潰れる。
これが普通だと晴はずっと思っていた。
だが、
「「「......」」」
三人は絶句していた。
どうやら普通ではないらしい。
「今日から鍛錬はしばらく禁止って言ってもお前は聞かないんだろう」
「努力家なのは美点だけど加減も大事だよ」
「少しは休んでくださいね」
大量の軟膏と清潔な布を渡す蓮
鎮痛作用がある植物を両手に抱えた咲空
甘いお菓子を差し出す楠
そして、両手に抱えきれないほどの物を受け取る晴
いつのまにか3人がいるところが居場所となってしまった日常がいつまでも続いて欲しいと晴は望んでしまった。
「お疲れ様!」
「まだ完全に回復していないのにやるなんて無茶し過ぎるなよ?」
「少し休憩しませんか?」
絶対に入ることがないと思っていたところにあった。
そして、周囲の会話から三人の正体も把握。
優しく声をかけてくれる咲空はこの国を治めている当主の一人娘。
怪我の心配をする蓮は隣国である三春を治める次期当主筆頭候補。
上品で知的な楠も三春出身の姫。
(こんなところに僕がいても良いのか)
一国の主を継ぐ高位な3人に少しでも近づくため、そして一人の姫のために死ぬ気で鍛錬をしているが、まだその道は遠そうだ。
「晴の剣技ってすごく上手だね!」
「そんなことないですよ」
「謙遜もほどほどにしておけ。あの仏頂面のじじいに褒められているだ。実力を認めろ」
「お兄様、指南役をじじいと呼ぶのは失礼ですよ。晴の練習が実を結んできましたね」
「言い過ぎですよ、楠様」
(これくらいで慢心してはいけない。もっとやらないと......!)
楠が用意してくれた茶菓子に手を触れず、次のことを考えていると口の中に甘い物が入って来た。
「⁉」
「美味しいでしょ?楠って料理が凄く上手なんだよ」
繊細な練り切り。
白あんの上品で優しい味わいは口の中で溶けていってしまう。
「こんなに美味しいお菓子、はじめて食べました!」
「嬉しいこと。これからも作ってきますね」
「お前、楠の手作り菓子で惚れたのか?なあ?」
楠が手を口元に当てて上品に笑っている姿に妹馬鹿の蓮のセンサーに触れてしまったみたいだった。
「一国の姫様に惚れるなんてそんな恐れ多いことできませんよ!なので、その......ぶっそうな拳を下ろしてくださるとその......とても嬉しいのですが......」
ぶっちゃけ言ってしまうと、晴よりも線が細くて武芸に通じていないこの男の拳を避けた上で一発殴るくらいできる。
だが、これまで言われっぱなしの晴には誰かの攻撃を避けてやり返すことができなかった。
「お兄様!何やっているのですか⁉本当に兄が失礼いたしました。ほら、お兄様、謝って下さい」
「いや、これは......」
慌てて仲介に入った妹に叱られたじたじになっている兄。
先ほどまでの攻撃的な様子はどこにも感じられない。
「お・に・い・さ・ま?」
「......すまなかった」
妹の圧に負けて謝罪する兄。
妹の言いなりとなってしまっている。
「別にこれくらい大丈夫ですよ。楠様の心配からのようですし」
「大丈夫じゃなわけないでしょ!殴られそうになることに慣れちゃだめ!大体ろくでもない理由だから、理由なんて気にしなくていいの」
「そういうものですか?」
自分のことでもないのに悲しそうな顔をする咲空の理由に晴は理解できなかった。
だが守りたい女の子が自分のせいで悲しい顔になるのが嫌。それだけの理由で自分のことをちゃんと見ようとする。
「お前っ⁉もっと自分の体に関心をむけろよ!全く......。ほら手を出せ」
「分かりました」
「⁉てっきり断ると思ってしまいましたが......。何か心境の変化でもあったのですね」
ちらっと咲空を見つめて楠はこの状況を納得したようだった。晴の方が少し大きいのに内面には大きな差があったらしい。これでは冷静に見守っている楠のほうが年上である。
妹に言われっぱなしで兄らしいことがない蓮はまた傷だらけになった晴の手に軟膏を塗る。
これだけなら兄というより立派な医者に見えなくもない。妹馬鹿で言葉遣いが悪いところを除けば。
「木刀を握れることが不思議なくらいだな。痛くはないのか?」
「痛くないとはどういうことでしょうか?木刀を持つ時はどんなときも痛いのでは?」
木刀を握ってからというものの手は肉刺だらけになって、刀を振る度に肉刺が潰れる。
これが普通だと晴はずっと思っていた。
だが、
「「「......」」」
三人は絶句していた。
どうやら普通ではないらしい。
「今日から鍛錬はしばらく禁止って言ってもお前は聞かないんだろう」
「努力家なのは美点だけど加減も大事だよ」
「少しは休んでくださいね」
大量の軟膏と清潔な布を渡す蓮
鎮痛作用がある植物を両手に抱えた咲空
甘いお菓子を差し出す楠
そして、両手に抱えきれないほどの物を受け取る晴
いつのまにか3人がいるところが居場所となってしまった日常がいつまでも続いて欲しいと晴は望んでしまった。



