「もう 泣か ない で」
いつも泣きそうな顔でこちらを見つめてくる少年。
「ごめ んね。ずっと 全 部 一人 で 抱え 込ま せ て」
思えば、ずっと晴は泣いている顔だった。記憶喪失とはいえ何もできなかった咲空の荷物を全部持たせてしまった。
「楠が ね、 いなく なって 本 当 に 一人 に なっ たと 思 った の。 そんな こと ない って 今 なら 分か る。 けど あの 時は、 いつ まで たっ ても 来な い 場所 を ね、 待つ こと に 耐え られ なく って。 だからね、 こう なっ た のは 全部 全部 わた し の せい なの。 晴は 何も 悪く ない。 だか ら 泣か ない で」
友人が突然天へ旅立ってしまったことは記憶が蘇った今、正直悲しすぎて今も思い出したくない。
それでも、自分は1人ではなかったのだと今なら気づける。どこにいたって記憶がある限り、思いは続くし、存在は消えない。
それなのに、咲空は記憶を全てなかったことにしてしまった。
「咲空は絶対に悪くない!僕が保証する。だって......君は僕を2回も好きにさせて必死にさせた女の子だから」
めちゃくちゃすぎる。何一つ根拠がない。
でも、晴の気持ち100%の言葉はどんなに正確な証拠よりも咲空の心に響いた。
胸がぎゅっと暖かくなって徐々に満たされていく。
満たされた気持ちは到底一人で抱え込めないほど、徐々に大きくなっていく。
(私も気持ちを返したい......)
溢れ出す気持ちを力に変えて。
幸せと哀悼を込めて。
暗い部屋に優しい緑の光が満たされる。
新しい風に運ばれて光は外へ飛び出て大地に戻す。
かつての栄光を失って土だけになった庭に山茶花が芽生え、季節外れの桃色の花を咲かせる。
山茶花だけではない。
恵の雨のように光が降り注がれる度に庭が彩られる。
そして咲空は手に一輪の花を持つ。
飾りがなくてもこの一輪で十分魅力的だし、思いを告げる文を結ばなくても自分で直接言いたいから不要。
何も持っていない手をゆっくり動かして、膝の上に乗っている相手の手を掴む。
掴んだ力はとても弱いけど、相手がしっかり握ってくれる。
(もう......離れたくない)
「わた し の 空は ね、 いつ も 晴が 晴れに して くれて いるん だよ。 曇 っても 雨が 降 っても 嵐が 来ても どん な 時 だって」
そして愛しの君に花を捧げた。
「だから ね、 これ からも 一緒に 隣に いて ほしいの」
「っさく、ら......!」
咲空が告白したことで少年の顔は目を大きく開けると、幸せを噛みしめるように笑った。
その手には可憐で控え目な鈴蘭が入っていた。
いつも泣きそうな顔でこちらを見つめてくる少年。
「ごめ んね。ずっと 全 部 一人 で 抱え 込ま せ て」
思えば、ずっと晴は泣いている顔だった。記憶喪失とはいえ何もできなかった咲空の荷物を全部持たせてしまった。
「楠が ね、 いなく なって 本 当 に 一人 に なっ たと 思 った の。 そんな こと ない って 今 なら 分か る。 けど あの 時は、 いつ まで たっ ても 来な い 場所 を ね、 待つ こと に 耐え られ なく って。 だからね、 こう なっ た のは 全部 全部 わた し の せい なの。 晴は 何も 悪く ない。 だか ら 泣か ない で」
友人が突然天へ旅立ってしまったことは記憶が蘇った今、正直悲しすぎて今も思い出したくない。
それでも、自分は1人ではなかったのだと今なら気づける。どこにいたって記憶がある限り、思いは続くし、存在は消えない。
それなのに、咲空は記憶を全てなかったことにしてしまった。
「咲空は絶対に悪くない!僕が保証する。だって......君は僕を2回も好きにさせて必死にさせた女の子だから」
めちゃくちゃすぎる。何一つ根拠がない。
でも、晴の気持ち100%の言葉はどんなに正確な証拠よりも咲空の心に響いた。
胸がぎゅっと暖かくなって徐々に満たされていく。
満たされた気持ちは到底一人で抱え込めないほど、徐々に大きくなっていく。
(私も気持ちを返したい......)
溢れ出す気持ちを力に変えて。
幸せと哀悼を込めて。
暗い部屋に優しい緑の光が満たされる。
新しい風に運ばれて光は外へ飛び出て大地に戻す。
かつての栄光を失って土だけになった庭に山茶花が芽生え、季節外れの桃色の花を咲かせる。
山茶花だけではない。
恵の雨のように光が降り注がれる度に庭が彩られる。
そして咲空は手に一輪の花を持つ。
飾りがなくてもこの一輪で十分魅力的だし、思いを告げる文を結ばなくても自分で直接言いたいから不要。
何も持っていない手をゆっくり動かして、膝の上に乗っている相手の手を掴む。
掴んだ力はとても弱いけど、相手がしっかり握ってくれる。
(もう......離れたくない)
「わた し の 空は ね、 いつ も 晴が 晴れに して くれて いるん だよ。 曇 っても 雨が 降 っても 嵐が 来ても どん な 時 だって」
そして愛しの君に花を捧げた。
「だから ね、 これ からも 一緒に 隣に いて ほしいの」
「っさく、ら......!」
咲空が告白したことで少年の顔は目を大きく開けると、幸せを噛みしめるように笑った。
その手には可憐で控え目な鈴蘭が入っていた。



