木漏れ日の中の光

 お母さんは玄関先にいる私に微笑んで、聞いてきた。

「うん、学校」

 私は首で頷いて、お母さんの顔を見た。

 お母さんは少し疲れた様子が目に見えて、分かった。

 仕事でなんかあったのかな?

「お母さん、なんかあった?」

「え? ああ、ないよ」

 一瞬、間があった。

 なんかあったなぁ。

「そっか」

 私は知らないふりをして、学校へと行こうと足を踏み出した。

 その時、お母さんから言葉が返ってきた。

「……お兄ちゃんね、今日ライブだから。時間ある時に見てね。YouTubeで配信されるみたいだよ」

 お母さんは行ってらっしゃいと手を振って、私を見送った。

「……時間があったらね」

 私は少し口角を上げて、お母さんに伝えた。

 私は見ないと分かっていても、一応お兄ちゃんの仕事ぶりを見てほしいのだろう。

 母の想いは充分、分かる。

 でも、私は見たら思い出してしまう。

 玄関ドアを開けて、外へと出た。

 今日は放課後、翔月とお気に入りのカフェに行く予定になっている。

 それを楽しみに今日頑張ろう。

 私は学校に行き、いつも通り授業を受けた。最後まで眠くなりながらも、なんとか目を擦った。