木漏れ日の中の光

 私は唯の肩に顔をのせて、唯の瞳を見続ける。

 唯は固まって、動けなくなっていた。

 お互い、黙ったままだった。

 やっと唯が振り絞って出した声は、私の予想だにしない答えだった。

「なにそれ。漣が翔月の兄。あり得ない。可愛くない。漣とは全然違うから」

 仏頂面で私に唯は言い捨てて、またペンライトを持ち、ライブを堪能していた。

 私はその言葉に愕然とした。

 もうライブなんて楽しめる余裕すらなくなった。

 持っていたペンライトを紙袋に入れて、私はライブを後にした。

 唯はライブに夢中になっていたので、私が抜けたことは気づかなかった。

 あれ以来、私は唯の言葉が頭の隅にこびりついてはがせないでいる。

 感情のない顔で言われた唯の言葉が、フッとした瞬間に蘇ることがある。

 それ以来、人の顔を見るのが怖くなった。

 初めてライブに行ったあの日から、私はマスクをつけるようになった。

 ライブから帰った私は、部屋に引きこもった。

 お母さんとお兄ちゃんはライブが終わった後に引きこもる私を心配していた。

 お兄ちゃんは自分のグループのライブで引きこもった妹に引け目を感じているようだった。