木漏れ日の中の光

 翔月はまた私の話の続きを聞いていた。 

「志津香ちゃんとは仲良くてね。コロナ前は本当にたわいもない話をして、楽しく過ごしてた。でも、コロナが流行って、一定の距離を保ってくださいって世の中が騒いで、あまり話さなくなった。ある日、コロナが少なくなってきて、私以外マスク外したんだ。それを見た志津香ちゃんは、なんで? マスクをするの? みんな外してるよ。ねぇ? 詩、マスク取ってって言われてさ。急に私の顔まで近づいて、マスクを勝手に取られてね」

 私は両手を握りしめて、また泣きそうな目を見られないように顔をそむけた。

「……勝手に?」

 翔月は目を見開き、口に出した。

「……うん。そう。取られた。止めようとしたけど何度もしてきたから。人と関わるのが怖くて逃げた。それ以来、話さなくなった」

 私は目を伏せて、翔月の重なった手をまた強く握りしめた。

 二人とも手を握ったまま、お互い顔を見つめた。

 ただ言葉はいらなかった。

 二人だけしか分からない空気と大丈夫の声が頭の中で響いてくる。

 心の中は凍っていた氷のように冷え切っていたが、徐々に温かさを取り戻した。