木漏れ日の中の光

 なにか聞きたいことあると思うのに、なんで聞いてこないの。

「翔月。気にならないの?」

 私は下を向いたまま、ポツリと言う。

「……なにが?」

「さっきのことだよ。聞きたいことあるんじゃないの?」

 私はどんな言葉が返ってくるのか怖くて目を閉じた。

 すると、私の手からほんのり温かさが増した。

 目を開けて顔を上げると、目の前に翔月が私の手をギュッと握っていた。

「……詩。聞かないのはね。詩が嫌かなと思って、あえて聞かなかったんだよ」

 私の手を握ったまま、まっすぐに私の目を見据えた。

 その目は柔らかく、丸っこくて、どこか優しさを感じた。

 力強く私の手を握り、祈るように翔月はまばたきせずに、ただ私を見ていた。

「……っ嫌じゃない。私…話したい!」 

 少し潤んだ目を手で拭い、唇を噛みしめて決意を固めた。

 翔月には話しても、いい。

 この小さい胸のとげを少しでも分かっていてもらいたい。

「うん」

 翔月は頷いて、手を離した。

 聞く態勢を整えてから、翔月は私の言葉を待っていた。

「…中学生のとき、コロナ時期でみんなマスクをしてたじゃん」

「うん」