木漏れ日の中の光

「……でも、持っていると安心するんだよね」

 私が自分に問いかけるように言い、はぁとため息を吐く。

 それを見た翔月は、私の肩をトントンと叩いた。

「詩。ここまで私たちやってこれた。私たち二人はマスクが取れなくて、いろいろ抱えているものがあった。それを私たちは補おうとしてやってきた。その事実は変わりない。マスクは私たちにとって救いだったよね?」

 翔月はマスクを持っている手を握りしめて、目を見合わせた。

 周りには道路沿いに横断歩道があり、まっすぐな道が続いていた。

 近くには郵便局やコンビニがあり、駐車場に止まる車や、入ってくる人たちがわんさかいる。

 声も風も通り過ぎるように、私たちはこれまでのことを記憶の中で蘇らせた。

 私たちは同じマスク仲間だった。

 でも、マスクをつけた理由も、抱えていたものも違う。

 それでも、同じ学校の同級生で、同じようにマスクをしていた。

 その共通点がなければ、私たちは一緒にいることはなかった。
 
「救いだよ。マスクはコロナが流行り始めて、つけるようになった。自分の心が落ち着かない時も一緒だった。マスクは私にとって、
心の支えだったから。マスクはもう手放さなきゃいけないのは分かってる。まだ、この手からマスクが離れるのは正直、想像できない
な」

 私は翔月の後ろ側に目をやると、楽しそうに女子二人組が歩いていた。

 女子高校生二人組は重い荷物を持っているが本音で言い合ったり、喜んだり、悲しんだり表情がコロコロ変わっていた。

 私たち以外にも高校生がいた。