木漏れ日の中の光

 翔月が謝った瞬間、クレープ屋の店員が『ご注文受けますけど、どうしますか?』と聞いてきた。

「あ、すいません。えーと、私はぶどうクレープと……翔月は?」

「あ、私はチョコクレープで」

 店員はかしこまりましたと笑顔で言い、クレープを作り始めた。

 それまで待っていると、翔月は私に呟く。

「詩。私、もう人の目とかいいのかな。推しにバレても、私がどう見られるのかなんて気にしなくてもいいのかなって。周りの音なんて聞かなくても」

 翔月は下を向いてから、靴を地面で蹴っていた。

「……翔月がそうしてもいいと思うよ。私も周りを気にしなくていいかなって。栗原さんの言葉でより感じた」

 私がそう言ったあとの沈黙は長かった。

 その時、キッチンカーの前で待っていると、後ろから声がした。

 二人同時に振り返ると、そこには唯が「翔月」と大きい声で叫んでいた。

「唯」

 翔月は顔を上げてから、唯を呼んだ。

 唯は翔月のところまで駆けて、思わず翔月も歩み寄った。

「翔月」

 息を切らしながら唯は呼吸を整えて、声を発した。

「……」

 翔月は唯の言葉を聞いているのか、聞いていないのか分からないが、身体が固まっていた。