木漏れ日の中の光

「……ああ、生徒の相談をしていてね。相談室で週三回。学校で相談にのってるんだ。先生と話し合ってから、生徒と面談するんだけどね。絵はね、たまに気分が落ち込んだ時にみるんだ」

 眼鏡をクイッと上げて照れくさそうに頭をかいていた。

 悪い人ではなさそう。

「今日も気分落ち込んでたんですか?」

 翔月は栗原さんにまっすぐ目を見て、聞いた。

「ちょっとね。でも、あの絵を見ると少し落ち着くんだ。水篠さんもそうだったんじゃないかな」

「私のこと、知ってるの? 詩のことも?」

「知ってますよ。花染詩さんと、水篠翔月さん」

「え? なんで」

 私は思わず、聞き返した。

「ここの高校生の名前は全員知ってるよ。二人がマスクをしていることも」

 栗原さんはニコリと笑いかけて、私たちに言う。

「……栗原さんは私たちをどう見てますか?」

 翔月はマスクを手で持ち、下を向いて、栗原さんに尋ねた。

「……そう聞くってことはマスクに対して何か抵抗があるんだね」

 栗原さんが言うと、私たちは栗原さんから目を伏せて、たじろいだ。

 栗原さんが言ったことは本当にその通りだったからだ。