木漏れ日の中の光

「唯と初めて会った時、いろいろ話したと思うけど、覚えてる?」

 唯に聞きたかった。

 覚えている訳がないけど、もしかしたら覚えているかもしれないという淡い期待を抱いた。

「……覚えてるよ」

 唯は天井を見上げて、答えた。

 まさかの答えに、私は思わず口で手を覆った。

「……覚えてるの?」

 もう一度唯に聞くと、唯はニヤリと笑って口を開いた。

「覚えてるよ。グッズ並んで、ライブ会場まで行って、人が多くて驚いたこと」

「あとはある?」

 私は唯の返答を待っていたら、それ以上の答えがなかったので唯に質問をした。

「ないけど」

 唯は目を細めて、そっけなく返事をした。  

 やっぱり、覚えていなかったか。

 私は背を背けて、ふぅと息を吐いた。

「……そっか。じゃあ、ライブ会場で唯が私に言ったことは覚えてないってことだよね」

 私はまた前を向き直したら、唯は拍子抜けした声を出した。

「……へ? なにそれ。覚えてないけど」

 唯は覚えていなかった。

 私が覚えてほしかった出来事を。

「……そっか」

 もう私はこれ以上言ったら、口が悪くなる。

「なに? 私が覚えていないことでもあるの?」