木漏れ日の中の光

 空き部屋は黒いカーテンで閉め切っていて、今使われていないのでほこりまみれだ。

 それでもカーテンの隙間から光が漏れている。

「あの光が……どれだけ欲しいんだろう」

 私は光の木漏れ日を手にかざして、目を細める。

 詩と同じように私はマスクをして、推しにバレたくない。

 バレたくないのに、私の存在が否定されているように感じるようになった。

 詩がまだ悩んでいるときも私は詩の傍を離れなかった。

 それと同時に、私が私でいられるように、均衡を保とうとした。

 詩と関わる内に私にはないものを諦めるようになったのかもしれない。

「マスクを取りたいのに取れない。推しにはバレたくない。バレたくないのにバレてしまっていいかなって思っている自分がいるんだよな。はぁ……」

 私はマスクを強引に引き破り、壁にもたれかかった。

 見えない何かが私をくすぐってくる。

 もどかしくて、恥ずかしくて、やるせない想いが溢れてくる。

 胸の奥の底から気持ち悪いほどの吐き気がしてきた。

 めまいがして、視界が少しぼんやりとしていたが、私を保つために壁にもたれかかったまま目を瞑った。

 詩も言ってたじゃないか。