木漏れ日の中の光

放課後

 鈴子は委員会があるので、一緒に帰れない。

 私は一人で校門に向かった。

 たくさんの生徒たちの視線を潜り抜けて、私は校門前で立ち止まった。

 ようやく人の目から逃れられた気がした。                                                        

 思わず、ため息がこぼれた。

 私以外のため息が聞こえてきて、右の方に顔を向けた。

 すると、女子が背中をまっすぐにして立っていた。

 綺麗な子。

 艶のある黒長髪に白く細い脚がひらりと伸びていて、誰が見ても美人の分類だ。

 身長一七〇㎝ほどあるのだろう。

 身長が高くて、誰の手にも届かなそうな、唯一無二の存在感がある。

 その子と目が合い、軽く礼をした時、私はあるものが目に入った。

「それって……鞄につけているキーホルダーって、SMEのですか?」

 私は駆け足で女子に聞いた。

 私が好きなアーティストSME。

 顔も出身地も謎のシンガーソングライター。

 ライブもグッズもネットのみ。

 そのグッズも、期間限定のグッズ。

 持っている人、初めて見た。

 女子は目を見開き、声を発さずにこくりと頷いた。

 しゃべれないのかな。

 不思議そうに思っていると、女子が一歩前に出た。

「……これ…いいですよね。私も好きです」

 にこやかに微笑んでいたが、マスク越しで本当の表情は分からなかった。

 私と同じ……マスクしている。