木漏れ日の中の光

 鈴子の言う通り。

 自分の話はあまりしていない。

 いや……できないんだ、自分では。

 言っても意味がないと思ってるからだ。

「……大丈夫だよ。私、トイレ行ってくる」

 私は席を立ち、トイレへ向かった。

 トイレに行くと、手洗い場で女子の声が聞こえてきた。

「ねぇねぇ、花染さんっていつまでマスクしてるんだろうね」

 同じクラスメイトが鏡を見て、唇にリップを塗っていた。

「……それな。もう、マスクしなくてもいいのにね。ほら、友達の鈴子だっけ。友達もマスクしてないのに」

 友達は頷きながら、髪をくしで梳かして、口にした。

「もしかしたら、マスク外したら、化け物だったりして? ハハハ」

 同じクラスメイトは面白半分で笑いながら友達と目を合わせていた。

 同時に友達は「そんな訳ないでしょ」と笑い飛ばしていた。

 私は同じクラスメイトが手洗い場から出たのを確認すると、足がすくんだ。                                                          

 下を向きながら、ゆっくりと一歩踏み出して教室へ戻る。

 ――分かってる。

 もう、世の中のコロナの流行は収まっていることを知ってる。

 でも、私はマスクを外せない。

 人の目がどうしたって、私を支配する。