木漏れ日の中の光

 他の人たちはカップルを透明人間かのように扱い、通り過ぎていく。

 流れる水のように、ひたすら歩いてカップルの前から去っていた。

 私はそれを横目で見て、翔月の腕をギュッと強く握った。

 翔月は腕をちらりと見てから、私の方に顔を向けた。

 どうしたんだろうと翔月は思っているだろう。

 それでも、私には何も聞かない。

 心配や不安ごとは誰よりも分かってるから。

 翔月は詩の腕を同じ強さで握り返した。

 大丈夫だよと言うように。

 握り返した時、翔月は優しく微笑んだ。

 翔月の笑顔は私にとって、救いだ。

 翔月自身は何も感じてはいないと思うが。私はぬくもりのある微笑みを見て、思わず口角をあげた。

 翔月と私は帰路につくため、別れた。

 別れ際、翔月は私に声を掛けた。

「詩。自分を責めないで」

 目を細めてから翔月は言い、私と反対方向へと駆けて行った。

 少し照れてたな。

 私は後ろ姿の翔月が見えなくなるまで見送ってから足を踏み出した。

 私が考え込んでいたって、どうしようもない。

 人ごみをかき分けるように、ただ走った。

 伝えたくない、伝えたい。