木漏れ日の中の光

 ベンチは少し濡れていたが、置いても問題ないほどの濡れだった。

 多分、ここは屋根がついているので、そんな濡れはしなかったのだろう。

 こんな私でも前に進むことなんて、できるのかな。

 私は一人呟いた。

 本のペーパーを開いた。

 そこには、こんな言葉が書かれていた。

 進むべき道には進むべきものがある。

「本当かな?」

 本のペーパーを手にして、首を傾げた。

 本当に進むべき道には進むべきものがあるのだろうか。

 こんな私でも。

 マスクを外せない私でも生きていいのかな。

 そのあとの続きはこう書いてあった。

 だけど、前に進みたい人しか進まない。

 私はうーんと頭を抱え込み、唸った。

「分からないな」

 私は足を両手で抱え込んだ。

 膝に顔をつけて、首を傾げた。

 考えたって、マスクを外せない私がいるのだから、どんなに対策をしても難しい。

「ああ……」

 私は顔を上に向けて、誰も見ていない空へと声を出す。

「私ってなんでこうなんだろう」

 そう呟いた時、顔の上から誰かが覗き込んで声を発した。

「詩は詩だから」

 翔月がいた。

 私のおでこに手をバシッと叩きつけて、私の隣に座った。