木漏れ日の中の光

 完全にマスクをしている時よりは少し外せるようになってきた。

 それでも、私はマスクが欠かせない。

「……はぁ」

 私は深いため息を吐き、ただ空を見上げた。

 なにもない自分に完全にやるせなさを感じた。

 暗闇の中にいる私に本屋の自動ドアから男性店員が出てきた。

 雨が降って退屈しないように明るい声で、男性店員が雨宿りをしていた人々に声を掛けていた。

「……この雨で時間を持て余していると思います。ぜひ、本屋に入ってください。無料で本のペーパーとコーヒーをお配りしています。ゆっくり休んでください」

 一礼をしてから、男性店員は本屋へと戻った。

 私は気になったので、本屋に入ることにした。

 大勢のお客さんで賑わっていた。

 まぁ、そりゃそうだよね。

 無料で本のペーパーとコーヒーがもらえるんだもん。

 本のペーパーとコーヒーは受付の隣で配られていた。

 人だかりも多いけど、どっちも欲しかった。

 すると、誰かが声を掛けてきた。

「詩?」

 その声に後ろを振り返ると、いとこの凛がいた。

「……凛」

 凛はカフェでの仕事を終えたばかりなのか、リュックを背負い、手には買い物袋を持っていた。