*
渓谷を流れる川。山深い場所なのに、川幅は思ったよりも広い。
だからだろうか。
梅雨の時期なのに、雨で水嵩が増しているようには見えない。深い緑を湛えた水の帯が、悠然と生い茂る木々の間を流れている。
猫の額ほどの河川敷は礫だらけだった。それでも、僅かながら雑草が茂っている場所もある。そこには赤紫色の小さな丸い花がいくつも顔を覗かせている。
それはアザミの花だった。赤紫の花は細く長い茎に支えられている。それが風に揺れると、なにかを招き寄せているようでもあった。
その頃の鏑木ヒロは、その花の名前など知らなかった。十歳になったばかり。まだ小学生だった彼は、野山の植物などに関心はない。花よりも、それが招き寄せた黒とオレンジの綺麗な模様の羽を広げた蝶――ヒョウモンモドキに目を奪われた。
目の前で踊る蝶は、一匹だけではない。
数十匹の大群だった。
もちろん彼は、その蝶が国内でも希少種になっている事など知る由もない。黒とオレンジの羽の模様が、ただ美しく見えただけだ。
それに、もう一つだけ異様な光景が目についた。その群れのほとんどの蝶は「つがい」になって飛んでいたのだ。
二匹のヒョウモンモドキは、互いに体を寄せ合い、風に乗って赤紫の花までたどり着く。ペアの群れが舞う様は、華麗であり神秘的だった。だけど、言いようのない不気味な雰囲気――あるいは恐ろしさと言った方が良いのかもしれないが――そんなものも漂わせていた。
どうして綺麗な蝶たちが、こんなにも不気味に思えるのか。
ヒロは蝶から目を離さずに考えた。ずっと考えていると、この蝶の群れが、とても強い意思を持って動いているようにも思えてきた。
だから、気味が悪いのかもしれない。
ここは、ずいぶん昔から「蝶の秘境」とも呼ばれていたらしい。
ヒョウモンモドキは、アザミの花が咲く草地に集まる。樹木の生い茂る山間部には、背丈の低い草花が育つ環境は少ない。ここでは川沿いの礫に囲まれた猫の額のような場所にだけアザミが群生している。その僅かなアザミの花を求めて、毎年多くのヒョウモンモドキが集まってくる。
見慣れない蝶の群れが、山深い場所で踊るように飛んでいる――そんな光景を見た地元の人たちが、この場所を特別な信仰の拠り所とした。その信仰とは、蝶がつがいになって飛んでいる事から、縁結びや子宝を祈念したものでもあった。
現にこの場所の一角に、古木で組んだ祠が鎮座していた。祠の中には御神体として、小さな石碑が置かれていたようだった。ただ、その祠はいつの間にか朽ち果ててしまい、辛うじて原型を止めている扉を天に向けて、草の中に転がっていた。
ヒロが草むらの中から拳ほどの大きさの石碑を見つけた時、表面に削られた文字は風化されていて、とても読めたものではなかった。
ゴロン、と。
突然、ヒロ目の前でその石碑が勢い良く転がった。
「露天風呂を作るなら、この辺りしかないよね」
ヒロの父が石碑を足で転がしながら、得意気に言う。彼は石碑をトレッキングシューズで踏みつけた。まるでボールで遊んでいるような気分でいるのかもしれない。
「ここの絶景が楽しめるのは、このポイントくらいだし」
「ええ……」
母――鏑木里佳子は、微笑を浮かべたまま頷く。里佳子は上の空のようでもある。
「あの旅館、なんとかしたいんだよね」
父が顎をしゃっくった先――河川敷の直ぐ上に、今夜、ヒロたちが宿泊する予定の温泉旅館の白亜の壁が見える。
普段は仕事にかまけて家に寄りつかない父。そんな彼が、この連休の最中に珍しく家族旅行に行こうと言い出した。
彼はこの川沿いに佇む古びた温泉旅館の部屋を予約した。森林浴を楽しむために作られた小振りの建物は、「蝶の隠れ宿」とも呼ばれて、一時は人気を博した高級旅館であったらしい。
ただ、今は相応の築年数を経過して、些か古びている。
「俺もかなり出資しちゃったからな。ここのリゾートの開発に……」
最近の父は「リゾートの開発」と言う言葉を良く口にしている。
「まるでオークション・ゲームみたいだよ、里佳子。今さら止めることもできなくなっちゃった」
父は里佳子に向かって肩を竦めてみせた。
「そうね」と里佳子は静かに答える。
彼女の声に感情はない。表情も固まっている。まるで作り物のようだった。
「ここを始めて見た時はね、二束三文で買えるような旅館だったからビジネスチャンスだと思ったんだ。けど、食事やサービスを変えて、内装を変えて、おまけにコネで地元の政治家にまでかけあってここの山道の整備まで手を回したのに、まだ赤字が続いているんだから、本当にうまくいかないよ」
彼は踏みつけていた石碑を再びゴロリと転がす。
それは果たして、ただの小さな岩の塊に過ぎないのだろうか。
「だから、今度はここに本格的な露天風呂でも作ってみようと思うんだ」
岩が転がった先に、二匹の蝶が飛んでいる。つがいのまま、ヒラリヒラリと不確かな軌道で飛んで、そっと石碑の上に止まった。
ヒロはその蝶に向けて手を伸ばそうとした。
許されるのなら、その神秘的な模様に触れてみたいと思ったからだ。
その時、父がスッと彼の前に体を入れた。
「これなんだよな。赤字の原因は……」
彼は蝶のとまった石碑を目にして、苦笑を深める。
ヒロは手を引っ込める。
「ここの地主が脅してくるんだよ。この蝶が安産だか子宝だか、なんの宗教なのか知らないけど、よそ者が神域に手をつけるのはどうか、ってね……。呪いや祟りの噂が広まったりしたら、そりゃ客も寄りつかなくなるよ……」
まったく、と彼は深いため息を吐く。
「こっちはちゃんとアセスメント調査もやったのに、あの連中は全然見向きもしないんだから。ちょっと頭がおかしいよ。まあ、アイツらは二束三文の山をできるだけ高く買わせたいだけなのかもしれないけど」
突然、父はダンッと石碑を思い切り踏みつけた。父のトレッキングシューズの靴底は、石碑の上に止まっていた二匹のヒョウモンモドキを正確に捉えた。
ダンッ、ダンッと何度も靴底を石に叩きつける。
「こんなの! なんの価値もない! ただの虫なのに――」
彼が足を上げると、石碑の上に一匹の蝶が体液を散らして貼りついていた。黒とオレンジの模様の羽は消し炭の跡のようになっている。
もう一匹の蝶は、ポロリと石碑の側に体を滑らせた。それはまだ生きているようで、フラフラと傷ついた羽を持ち上げようとしている。
父は目を下げる。「しつこいなぁ」と呟いてから、再び靴底でその蝶をギュッと踏みつけた。
「なあ、ヒロ」
「なに……」
父と目を合わせた瞬間、ヒロはゾッとした。
彼の漆黒の瞳の中に、小さなオレンジの光が見えた気がした。まるでちょうど今、彼が踏み潰した蝶の羽の模様が、そこに映っているようにも思えた。
「そう言えば、お前は温泉より映画を観たいとか言ってなかったか? 観たかったのはアニメ映画だったかな」
どうしてここでそんな話をするのか。
確かに、里佳子に頼んで、週末に映画館に連れていってもらう約束をしていた。ヒロが好きだったアニメの新作映画が、数日前に劇場で公開されたからだ。
「そうだけど……」
「じゃあ、その大好きなアニメ映画を観るために、ヒロは自分の小遣いを使って、チケットを一枚買ったとしよう」
「……うん」
「でも映画館に入ろうとした時、そのチケットをなくした事に気がついた。ポケットに突っ込んでいたんだけど、そこに穴でも空いていたのかもしれないな。その時、お前はどうする?」
「……観るのを、やめる」
「どうして? もう一度チケットを買わないのか?」
「た、高いから……。二回も買えないし」
「映画のチケットは高いのか? 小学生の料金なら、それほど高くもないだろ」
「でも、もったいないし……」
劇場でアニメ映画を観なくても、いつかテレビで放映するのを待てば良い。それなら無料で同じものを楽しめる。
「お前が本当にその映画を観たいのなら、もう一度チケットを買えば良いんじゃないか。なくしたチケットなんて、無視してしまえば良いんだよ」
え? とヒロは言葉を失う。
「父さんがここに露天風呂を作る理由は、そう言う事なんだ」
そう言われても、どう言う事なのかヒロには理解できない。
「今なんだよ、今! この瞬間がすごく大切なんだ!」父は興奮したように続ける。「ここにカビの生えたような古い蝶の神様がいた事なんて、もうどうでも良いんだ! 訳の分からない連中の言う事も無視すれば良い。結局、そんなコストはいつまで経っても回収できないんだから簡単に無視できるんだよ。これがつまりサンクコスト――埋没費用だ。分かるか?」
分かる筈がない。
ヒロは恐る恐る首を横に振る。
父は微笑を浮かべる。
いや。それは微笑というよりも、嘲笑と言った方が良いのかもしれない。
どうして自分の父からそんな風に見下され、嗤われてしまうのか。
「次にここに来る時は、親子で一緒に露天風呂でも楽しもうよ。この場所がそんな風に変わるなんて、本当に楽しみじゃないか」
彼は笑みを深めた。
無抵抗な蝶をすり潰して、彼はどんな快楽を覚えてしまったのか。
ヒロは父から目を逸らしたまま、なにも考える事ができなくなってしまった。
渓谷を流れる川。山深い場所なのに、川幅は思ったよりも広い。
だからだろうか。
梅雨の時期なのに、雨で水嵩が増しているようには見えない。深い緑を湛えた水の帯が、悠然と生い茂る木々の間を流れている。
猫の額ほどの河川敷は礫だらけだった。それでも、僅かながら雑草が茂っている場所もある。そこには赤紫色の小さな丸い花がいくつも顔を覗かせている。
それはアザミの花だった。赤紫の花は細く長い茎に支えられている。それが風に揺れると、なにかを招き寄せているようでもあった。
その頃の鏑木ヒロは、その花の名前など知らなかった。十歳になったばかり。まだ小学生だった彼は、野山の植物などに関心はない。花よりも、それが招き寄せた黒とオレンジの綺麗な模様の羽を広げた蝶――ヒョウモンモドキに目を奪われた。
目の前で踊る蝶は、一匹だけではない。
数十匹の大群だった。
もちろん彼は、その蝶が国内でも希少種になっている事など知る由もない。黒とオレンジの羽の模様が、ただ美しく見えただけだ。
それに、もう一つだけ異様な光景が目についた。その群れのほとんどの蝶は「つがい」になって飛んでいたのだ。
二匹のヒョウモンモドキは、互いに体を寄せ合い、風に乗って赤紫の花までたどり着く。ペアの群れが舞う様は、華麗であり神秘的だった。だけど、言いようのない不気味な雰囲気――あるいは恐ろしさと言った方が良いのかもしれないが――そんなものも漂わせていた。
どうして綺麗な蝶たちが、こんなにも不気味に思えるのか。
ヒロは蝶から目を離さずに考えた。ずっと考えていると、この蝶の群れが、とても強い意思を持って動いているようにも思えてきた。
だから、気味が悪いのかもしれない。
ここは、ずいぶん昔から「蝶の秘境」とも呼ばれていたらしい。
ヒョウモンモドキは、アザミの花が咲く草地に集まる。樹木の生い茂る山間部には、背丈の低い草花が育つ環境は少ない。ここでは川沿いの礫に囲まれた猫の額のような場所にだけアザミが群生している。その僅かなアザミの花を求めて、毎年多くのヒョウモンモドキが集まってくる。
見慣れない蝶の群れが、山深い場所で踊るように飛んでいる――そんな光景を見た地元の人たちが、この場所を特別な信仰の拠り所とした。その信仰とは、蝶がつがいになって飛んでいる事から、縁結びや子宝を祈念したものでもあった。
現にこの場所の一角に、古木で組んだ祠が鎮座していた。祠の中には御神体として、小さな石碑が置かれていたようだった。ただ、その祠はいつの間にか朽ち果ててしまい、辛うじて原型を止めている扉を天に向けて、草の中に転がっていた。
ヒロが草むらの中から拳ほどの大きさの石碑を見つけた時、表面に削られた文字は風化されていて、とても読めたものではなかった。
ゴロン、と。
突然、ヒロ目の前でその石碑が勢い良く転がった。
「露天風呂を作るなら、この辺りしかないよね」
ヒロの父が石碑を足で転がしながら、得意気に言う。彼は石碑をトレッキングシューズで踏みつけた。まるでボールで遊んでいるような気分でいるのかもしれない。
「ここの絶景が楽しめるのは、このポイントくらいだし」
「ええ……」
母――鏑木里佳子は、微笑を浮かべたまま頷く。里佳子は上の空のようでもある。
「あの旅館、なんとかしたいんだよね」
父が顎をしゃっくった先――河川敷の直ぐ上に、今夜、ヒロたちが宿泊する予定の温泉旅館の白亜の壁が見える。
普段は仕事にかまけて家に寄りつかない父。そんな彼が、この連休の最中に珍しく家族旅行に行こうと言い出した。
彼はこの川沿いに佇む古びた温泉旅館の部屋を予約した。森林浴を楽しむために作られた小振りの建物は、「蝶の隠れ宿」とも呼ばれて、一時は人気を博した高級旅館であったらしい。
ただ、今は相応の築年数を経過して、些か古びている。
「俺もかなり出資しちゃったからな。ここのリゾートの開発に……」
最近の父は「リゾートの開発」と言う言葉を良く口にしている。
「まるでオークション・ゲームみたいだよ、里佳子。今さら止めることもできなくなっちゃった」
父は里佳子に向かって肩を竦めてみせた。
「そうね」と里佳子は静かに答える。
彼女の声に感情はない。表情も固まっている。まるで作り物のようだった。
「ここを始めて見た時はね、二束三文で買えるような旅館だったからビジネスチャンスだと思ったんだ。けど、食事やサービスを変えて、内装を変えて、おまけにコネで地元の政治家にまでかけあってここの山道の整備まで手を回したのに、まだ赤字が続いているんだから、本当にうまくいかないよ」
彼は踏みつけていた石碑を再びゴロリと転がす。
それは果たして、ただの小さな岩の塊に過ぎないのだろうか。
「だから、今度はここに本格的な露天風呂でも作ってみようと思うんだ」
岩が転がった先に、二匹の蝶が飛んでいる。つがいのまま、ヒラリヒラリと不確かな軌道で飛んで、そっと石碑の上に止まった。
ヒロはその蝶に向けて手を伸ばそうとした。
許されるのなら、その神秘的な模様に触れてみたいと思ったからだ。
その時、父がスッと彼の前に体を入れた。
「これなんだよな。赤字の原因は……」
彼は蝶のとまった石碑を目にして、苦笑を深める。
ヒロは手を引っ込める。
「ここの地主が脅してくるんだよ。この蝶が安産だか子宝だか、なんの宗教なのか知らないけど、よそ者が神域に手をつけるのはどうか、ってね……。呪いや祟りの噂が広まったりしたら、そりゃ客も寄りつかなくなるよ……」
まったく、と彼は深いため息を吐く。
「こっちはちゃんとアセスメント調査もやったのに、あの連中は全然見向きもしないんだから。ちょっと頭がおかしいよ。まあ、アイツらは二束三文の山をできるだけ高く買わせたいだけなのかもしれないけど」
突然、父はダンッと石碑を思い切り踏みつけた。父のトレッキングシューズの靴底は、石碑の上に止まっていた二匹のヒョウモンモドキを正確に捉えた。
ダンッ、ダンッと何度も靴底を石に叩きつける。
「こんなの! なんの価値もない! ただの虫なのに――」
彼が足を上げると、石碑の上に一匹の蝶が体液を散らして貼りついていた。黒とオレンジの模様の羽は消し炭の跡のようになっている。
もう一匹の蝶は、ポロリと石碑の側に体を滑らせた。それはまだ生きているようで、フラフラと傷ついた羽を持ち上げようとしている。
父は目を下げる。「しつこいなぁ」と呟いてから、再び靴底でその蝶をギュッと踏みつけた。
「なあ、ヒロ」
「なに……」
父と目を合わせた瞬間、ヒロはゾッとした。
彼の漆黒の瞳の中に、小さなオレンジの光が見えた気がした。まるでちょうど今、彼が踏み潰した蝶の羽の模様が、そこに映っているようにも思えた。
「そう言えば、お前は温泉より映画を観たいとか言ってなかったか? 観たかったのはアニメ映画だったかな」
どうしてここでそんな話をするのか。
確かに、里佳子に頼んで、週末に映画館に連れていってもらう約束をしていた。ヒロが好きだったアニメの新作映画が、数日前に劇場で公開されたからだ。
「そうだけど……」
「じゃあ、その大好きなアニメ映画を観るために、ヒロは自分の小遣いを使って、チケットを一枚買ったとしよう」
「……うん」
「でも映画館に入ろうとした時、そのチケットをなくした事に気がついた。ポケットに突っ込んでいたんだけど、そこに穴でも空いていたのかもしれないな。その時、お前はどうする?」
「……観るのを、やめる」
「どうして? もう一度チケットを買わないのか?」
「た、高いから……。二回も買えないし」
「映画のチケットは高いのか? 小学生の料金なら、それほど高くもないだろ」
「でも、もったいないし……」
劇場でアニメ映画を観なくても、いつかテレビで放映するのを待てば良い。それなら無料で同じものを楽しめる。
「お前が本当にその映画を観たいのなら、もう一度チケットを買えば良いんじゃないか。なくしたチケットなんて、無視してしまえば良いんだよ」
え? とヒロは言葉を失う。
「父さんがここに露天風呂を作る理由は、そう言う事なんだ」
そう言われても、どう言う事なのかヒロには理解できない。
「今なんだよ、今! この瞬間がすごく大切なんだ!」父は興奮したように続ける。「ここにカビの生えたような古い蝶の神様がいた事なんて、もうどうでも良いんだ! 訳の分からない連中の言う事も無視すれば良い。結局、そんなコストはいつまで経っても回収できないんだから簡単に無視できるんだよ。これがつまりサンクコスト――埋没費用だ。分かるか?」
分かる筈がない。
ヒロは恐る恐る首を横に振る。
父は微笑を浮かべる。
いや。それは微笑というよりも、嘲笑と言った方が良いのかもしれない。
どうして自分の父からそんな風に見下され、嗤われてしまうのか。
「次にここに来る時は、親子で一緒に露天風呂でも楽しもうよ。この場所がそんな風に変わるなんて、本当に楽しみじゃないか」
彼は笑みを深めた。
無抵抗な蝶をすり潰して、彼はどんな快楽を覚えてしまったのか。
ヒロは父から目を逸らしたまま、なにも考える事ができなくなってしまった。

