僕と萱は先生に起こされる前に、起きて支度をして一階に降りた。
すでに、先生とよしかずさんも準備万端で、僕たちを起こそうと二階に向かうところだったらしい。
「エラいな、自分たちで起きてきたか」
「すごい。初めての人はなかなか起きません」
僕と萱は褒められて、朝から気分が良かった。
帽子と長靴を借りて、四人で畑まで歩いた。
真夏なのに、朝の清里は少し寒いくらいだ。
空気がキレイで鳥の鳴き声しかしない。
隣を歩く萱も、大きく息を吸って、キレイな空気を取り込んでいた。
前を並んで歩く、大柄な塚田先生と、背は同じぐらいなのに半分ぐらいの細さのよしかずさんの対照的な姿が面白い。
よしかずさんは、常に口角が上がっていて笑顔だ。
第一印象で好感度が上がるのって大事だなと、僕も口角を上げる練習をしていると、萱に笑われた。
二十分ぐらい歩くと、広い畑に着いた。
「ここでは、ナス、ズッキーニ、ミニトマト、キャベツ、ささげを作ってる。他にもまだ栽培中なものもあるけどな」
キレイな紫色したナスが幾つもぶら下がっていた。
「とりあえず、収穫しよう。二人はよしかずに見習って、やってみて」
「はい!」
僕と萱はよしかずさんに教わりながら、ナスやズッキーニ、ミニトマトを収穫した。
まだ採るには早いものと、今採っていいものを見分けて慎重にハサミを入れる。
ツヤツヤしている野菜を手に取るだけで、なんだか嬉しくなっていると、あの女の子がやってきた。
「柚、地雷ちゃんがやって来たぞ」
「萱! 聞こえるぞ」
先生と何かを話した後、僕たちと一緒に野菜を収穫し始めた。
今日もやっぱり、キャップを深く被っていて目は見えない。
「おはようございます……」
僕は自分でも驚くほど、小さな声で挨拶をしていた。
やはり、声を出さずにこくんと頷かれた。
一応、応えてはくれるんだな……
「僕、塚さんのとこへ行くから、島谷くんも萱くんも、美瑛ちゃんに教えてもらって」
そう言うと、よしかずさんは先生の元へ走って行った。
残された三人で、黙々と収穫を続ける。
こういう時に、萱は自然と話題を作るはずなのに、今日に限っては黙っている。
『地雷』って言っているぐらいだから、相手にしたくないのかな……
「な、慣れてるね」
「……」
僕の放った言葉は、半円を描いて畑の土の中に見事に落ちた。
あー、やっぱり慣れないことはすべきじゃなかった!
僕はナスに気持ちを集中させた。
「……小学生のころからやってるから」
「え!」
ささやくような細い声が聞こえた。
思わず、一緒にナスにハサミを入れていた萱と目を合わせた。
萱は声を出さずに口を動かして、僕に何かを言わせようとしている。
僕も声を出さずに『何? 何言ってるの?』と口を動かした。
ヘンな間が出来てしまい、逆に焦る。
せっかく答えてくれたのだから、会話は続けないと……
「そ、そうなんだ。僕たちは超初心者だから……」
「知ってる。塚さんに生徒が二人夏休みの学習旅行に来るって教えてもらったから」
「へ? 学習旅行?」
僕はまたもや、萱と目を合わせた。
勝手に学習旅行にされているけど、ここは話を合わせないと。
「そ、そうなんだ。来年は受験体制に入るのでそのまえに自然と触れ合おうという学習旅行……」
僕の絞り出した言葉に、萱が指でグッドポーズを出した。
「……同い年ぐらいかな?」
僕は思い切って、聞いてみた。
一応、今後も会話を続けるためには共通認識が欲しかったから。
「……17。でも学校は行ってない」
「あ、そうなんだ……」
「もう終わり」
そう言うと、僕たちの元から去って行った。
「会話できたな」
「うん。なんとか続いたよね」
「同い年ってか?」
「でも、学校行ってないんだ」
僕と萱は顔を見合わすと、わけもなくヘラヘラと笑っていた。
すでに、先生とよしかずさんも準備万端で、僕たちを起こそうと二階に向かうところだったらしい。
「エラいな、自分たちで起きてきたか」
「すごい。初めての人はなかなか起きません」
僕と萱は褒められて、朝から気分が良かった。
帽子と長靴を借りて、四人で畑まで歩いた。
真夏なのに、朝の清里は少し寒いくらいだ。
空気がキレイで鳥の鳴き声しかしない。
隣を歩く萱も、大きく息を吸って、キレイな空気を取り込んでいた。
前を並んで歩く、大柄な塚田先生と、背は同じぐらいなのに半分ぐらいの細さのよしかずさんの対照的な姿が面白い。
よしかずさんは、常に口角が上がっていて笑顔だ。
第一印象で好感度が上がるのって大事だなと、僕も口角を上げる練習をしていると、萱に笑われた。
二十分ぐらい歩くと、広い畑に着いた。
「ここでは、ナス、ズッキーニ、ミニトマト、キャベツ、ささげを作ってる。他にもまだ栽培中なものもあるけどな」
キレイな紫色したナスが幾つもぶら下がっていた。
「とりあえず、収穫しよう。二人はよしかずに見習って、やってみて」
「はい!」
僕と萱はよしかずさんに教わりながら、ナスやズッキーニ、ミニトマトを収穫した。
まだ採るには早いものと、今採っていいものを見分けて慎重にハサミを入れる。
ツヤツヤしている野菜を手に取るだけで、なんだか嬉しくなっていると、あの女の子がやってきた。
「柚、地雷ちゃんがやって来たぞ」
「萱! 聞こえるぞ」
先生と何かを話した後、僕たちと一緒に野菜を収穫し始めた。
今日もやっぱり、キャップを深く被っていて目は見えない。
「おはようございます……」
僕は自分でも驚くほど、小さな声で挨拶をしていた。
やはり、声を出さずにこくんと頷かれた。
一応、応えてはくれるんだな……
「僕、塚さんのとこへ行くから、島谷くんも萱くんも、美瑛ちゃんに教えてもらって」
そう言うと、よしかずさんは先生の元へ走って行った。
残された三人で、黙々と収穫を続ける。
こういう時に、萱は自然と話題を作るはずなのに、今日に限っては黙っている。
『地雷』って言っているぐらいだから、相手にしたくないのかな……
「な、慣れてるね」
「……」
僕の放った言葉は、半円を描いて畑の土の中に見事に落ちた。
あー、やっぱり慣れないことはすべきじゃなかった!
僕はナスに気持ちを集中させた。
「……小学生のころからやってるから」
「え!」
ささやくような細い声が聞こえた。
思わず、一緒にナスにハサミを入れていた萱と目を合わせた。
萱は声を出さずに口を動かして、僕に何かを言わせようとしている。
僕も声を出さずに『何? 何言ってるの?』と口を動かした。
ヘンな間が出来てしまい、逆に焦る。
せっかく答えてくれたのだから、会話は続けないと……
「そ、そうなんだ。僕たちは超初心者だから……」
「知ってる。塚さんに生徒が二人夏休みの学習旅行に来るって教えてもらったから」
「へ? 学習旅行?」
僕はまたもや、萱と目を合わせた。
勝手に学習旅行にされているけど、ここは話を合わせないと。
「そ、そうなんだ。来年は受験体制に入るのでそのまえに自然と触れ合おうという学習旅行……」
僕の絞り出した言葉に、萱が指でグッドポーズを出した。
「……同い年ぐらいかな?」
僕は思い切って、聞いてみた。
一応、今後も会話を続けるためには共通認識が欲しかったから。
「……17。でも学校は行ってない」
「あ、そうなんだ……」
「もう終わり」
そう言うと、僕たちの元から去って行った。
「会話できたな」
「うん。なんとか続いたよね」
「同い年ってか?」
「でも、学校行ってないんだ」
僕と萱は顔を見合わすと、わけもなくヘラヘラと笑っていた。



