悪役令嬢に転生した干物女は酒の肴を食べたい。

「え、ちょ、ミラ嬢。僕は君と初めて会った日から君が好きだったのに!」

「ロブソン男爵様。わたくしはいくらお断りしても手紙を押し付けられるし、婚約者でもないのに手を握られるし、迷惑でした。何より貴方様にはクリティア様という婚約者がいるのに、他の女性にうつつを抜かすなんて不誠実ですわ」

 やっと名前がわかった。

 元婚約者はロブソンね。

 婚約破棄されてよかった。

「そ、それじゃあクリティア。やっぱり僕が結婚してあげるから、さっきのは聞かなかったことに」

「なりません」

 ロブソンは髪をかきあげ遠吠えをあげる。

「そうかいそうかい。まあ、この会場に令嬢は大勢いるし、美貌の僕と結婚したい女性はいくらでもいるさ! さぁ僕の胸に飛び込んでおいで、ハニーー!」
 
 モーゼの海わりのごとく、サーーーっとロブソンのまわりから女性陣が引いた。

 一人もいないようだねロブソン。

 ロブソンの父親と思しき髭男爵が駆けつけた。

「申し訳ない、クリティア様。こいつにはよく言い聞かせますので」

 私に何度も頭を下げ、ロブソンの襟首を掴む。

「そんなぁああ、離してくれ父上っ! 忘れないでマイスウィーーーーート!」

 引きずられて退場していった。