悪役令嬢に転生した干物女は酒の肴を食べたい。

 普通こういうのって、ゲームやりこんで愛着湧いてる女子あたりが転生してくるんじゃないの?

 なんで1ミクロンも関心のなかった私。

 転生してから今日までの記憶が頭の中に入ってくるというメタ展開を期待してみたけれど何も思い出せない。

 さっきから逢瀬を邪魔するなみたいなこと言ってるけど、この人が本当に私の婚約者だったなら、浮気しそうな男を止めるのは当然よね。

 しかし元婚約者いわく、私は愛し合う恋人たちを引き裂く悪女。

 とりあえず目の前の元婚約者らしいあんちゃんにお辞儀しとこう。
 
「承知しました。お幸せに」

 結婚願望ないし、前世は35歳まで独り身でも問題なく生きてたし。

 今はパーティーのさなからしくて、まわりがざわついている。

 こんな大勢の前で馬鹿な宣言できるってさ、元婚約者未来を見据える力がないわ。

 肩を抱かれているミラは悪質ナンパ男に詰め寄られる女子高生みたいな、泣きそうな顔している。

「ねぇミラ様。私と一緒に来ませんか? この方、何度でも不誠実なことをしてしまいそうだもの。あなたが不幸になるのを見たくありません」

 ニッコリ笑顔でミラさんに微笑みかければ、やはりミラさんも迷惑していたのか、肩に回されていた元婚約者の手をはたき落とした。

 私に駆け寄ってきて手を取る。

「クリティアお姉様、素敵です。わたくし、あなたのように殿方に頼らない生き方をしたいわ。姉妹になってくださいませ」

 あらなんてかわいい子。

 妹分ができたみたい。