「なんておいしそう! 私、そぼくな鍋料理って大好き」
実家にいた頃は何鍋にするかで家族でジャンケンして決めるくらい、高頻度で鍋料理を食べていた。豆乳鍋、愛してる。
小皿にちょっととって一口味見。
「おいしい、すごくおいしい! トマトの風味が凝縮されていて、野菜の甘みとベーコンの香ばしさ。……いいわね、農民鍋! これなら絶対、移住者のみんな喜んでくれるわ」
「ぼくもこの鍋好きだな。こんど使用人のみんなのまかないにしてみるか」
「ほんとですか? やったー!」
クックは子どもみたいに喜ぶ。
ほかの料理を用意していた女性陣の中から、クックのお母さんがやってきた。
「ごきげんよう、クリティアさま。うちの息子がご迷惑かけていませんか?」
「そんなことないわ。いまだって、ほら。こんなに美味しく料理を作ってくれたもの。お母さんも食べてみてくださいな」
別の小皿に盛って、クックのお母さんに渡す。お母さんはコクリと飲んで涙を浮かべる。
「あれまあ。クック、いつのまに農民鍋をこんなにうまく作れるようになったんだい。母さんうれしくて涙が出るよ」
「やめてくれよみんなの前で。俺、ちゃんと領主様のところで頑張っているから泣かないでくれよ」
異世界でも、母親っていつでも子どものこと心配しているのね。いいもの見せてもらったわ。
できた料理を会場のテーブルに並べていき、移住者の皆さんも卓につく。
父上と母上、村長が歓迎の挨拶をして、飲めや歌えやのパーティーが始まる。
クックとジーニャはご両親とならんで座り、村の人たちが代わる代わるクックに話しかけている。
ルールーは私のとなりで取れたてニンジンを生でかじってご満悦。



