その日の夜。
私の部屋はいつもより暗い。
ベッドの上で膝を抱える。
カバンの底からスマホを出した。
手汗のあとが画面に残っている。
お腹の奥がずっと痛い。
彼方に送ってしまったあのメッセージ。
思い出すだけで苦しくなる。
私はストーリーをもう一度開いた。
何十回も見た、あのスクショ。
彼方の裏垢の画面。
(本当に、彼方が書いたのかな)
昼間と違って1人になると、どうしても違和感が消えない。
あの必死に走っていた彼方が、こんな汚い言葉を使うだろうか。
私は、スクショに写っているIDを、検索欄に打ち込んだ。
見つかった。
アイコンは、真っ黒なまま。
晒されてたのは、ほんの一部だけだった。
私は、画面を下にスクロールした。
過去の投稿を、最初から全部、自分の目で見るために。
「あ……」
声が出た。
画像にあった悪口の前後の文章。
それを読んだ瞬間頭痛がした。
麗奈のやつらは一番最悪に見えるように繋ぎ合わせただけだった。
『みんな中身のない自慢ばっかでアホらしい』
晒されていたのは、そこだけ。
でも、本当の画面には、続きがあった。
『……って、そうやって斜に構えて、みんなをバカにしてる自分が一番アホらしい。普通に笑い合えるみんなが、本当は少し羨ましい』
涙が、ボトッと画面に落ちた。
慌てて袖で拭く。
指がガタガタ震えて、うまくスクロールできない。
次の投稿。
『毎日窓から見てくる女子とかキモい』
本当の文章は違った。
『今日も毎日窓から俺のことを見てくる女子がいた。走るの、もう辞めたいってずっと思ってた。でも、誰か1人でも見てくれているなら、その人のために明日も走ろうって思えた。キモいかもしれないけど、それが今の俺の唯一の救いでしかない』
「う、そ……」
私のことだ。
彼方は、窓から見ていた私に救われていたんだ。
変なストーカーだなんて一言も思っていなかったんだ。
画面をさらに進める。
そこに、私の名前があった。
『今日、初めてあの女子と話せた。十愛っていう名前だった。ちょっと愛想よく話しただけで、自分がすぐに舞い上がって勘違いしそうになる。俺って本当にチョロいな。嫌われてないか、それだけがずっと不安だ』
胸が痛くて息ができない。
彼方は学校の普通に馴染めなくて。それでも必死に生きていただけだった。
それなのにみんなははそれを玩具にした。
クラスのみんなはそれを化け物扱いして楽しんだ。
そして私は。
『もう私に連絡してこないで』
彼方を一番どん底に突き落としたのは、私だ。
世界中でたった1人、彼の本物を知っていたはずなのに。
みんなの目が怖いからって、自分の保身のために、彼を裏切った。
「私が……一番キモいじゃんか……」
涙が止まらない。
しゃくりあげて、ベッドのシーツに顔をうずめた。
みんながそう言っているからって彼を悪者にした自分のことが、死ぬほど気持ち悪くて吐き気がした。
床に落ちたスマホが鳴った。
友達からのグループの通知。
『明日、アイツ学校来るかな?w』
『ウケる、来たらマジ空気凍るね』
私は、ベッドから飛び起きた。
スマホなんて、もうどうでもいい。
誰かの決めた正解なんて、クソ喰らえだ。
私の部屋はいつもより暗い。
ベッドの上で膝を抱える。
カバンの底からスマホを出した。
手汗のあとが画面に残っている。
お腹の奥がずっと痛い。
彼方に送ってしまったあのメッセージ。
思い出すだけで苦しくなる。
私はストーリーをもう一度開いた。
何十回も見た、あのスクショ。
彼方の裏垢の画面。
(本当に、彼方が書いたのかな)
昼間と違って1人になると、どうしても違和感が消えない。
あの必死に走っていた彼方が、こんな汚い言葉を使うだろうか。
私は、スクショに写っているIDを、検索欄に打ち込んだ。
見つかった。
アイコンは、真っ黒なまま。
晒されてたのは、ほんの一部だけだった。
私は、画面を下にスクロールした。
過去の投稿を、最初から全部、自分の目で見るために。
「あ……」
声が出た。
画像にあった悪口の前後の文章。
それを読んだ瞬間頭痛がした。
麗奈のやつらは一番最悪に見えるように繋ぎ合わせただけだった。
『みんな中身のない自慢ばっかでアホらしい』
晒されていたのは、そこだけ。
でも、本当の画面には、続きがあった。
『……って、そうやって斜に構えて、みんなをバカにしてる自分が一番アホらしい。普通に笑い合えるみんなが、本当は少し羨ましい』
涙が、ボトッと画面に落ちた。
慌てて袖で拭く。
指がガタガタ震えて、うまくスクロールできない。
次の投稿。
『毎日窓から見てくる女子とかキモい』
本当の文章は違った。
『今日も毎日窓から俺のことを見てくる女子がいた。走るの、もう辞めたいってずっと思ってた。でも、誰か1人でも見てくれているなら、その人のために明日も走ろうって思えた。キモいかもしれないけど、それが今の俺の唯一の救いでしかない』
「う、そ……」
私のことだ。
彼方は、窓から見ていた私に救われていたんだ。
変なストーカーだなんて一言も思っていなかったんだ。
画面をさらに進める。
そこに、私の名前があった。
『今日、初めてあの女子と話せた。十愛っていう名前だった。ちょっと愛想よく話しただけで、自分がすぐに舞い上がって勘違いしそうになる。俺って本当にチョロいな。嫌われてないか、それだけがずっと不安だ』
胸が痛くて息ができない。
彼方は学校の普通に馴染めなくて。それでも必死に生きていただけだった。
それなのにみんなははそれを玩具にした。
クラスのみんなはそれを化け物扱いして楽しんだ。
そして私は。
『もう私に連絡してこないで』
彼方を一番どん底に突き落としたのは、私だ。
世界中でたった1人、彼の本物を知っていたはずなのに。
みんなの目が怖いからって、自分の保身のために、彼を裏切った。
「私が……一番キモいじゃんか……」
涙が止まらない。
しゃくりあげて、ベッドのシーツに顔をうずめた。
みんながそう言っているからって彼を悪者にした自分のことが、死ぬほど気持ち悪くて吐き気がした。
床に落ちたスマホが鳴った。
友達からのグループの通知。
『明日、アイツ学校来るかな?w』
『ウケる、来たらマジ空気凍るね』
私は、ベッドから飛び起きた。
スマホなんて、もうどうでもいい。
誰かの決めた正解なんて、クソ喰らえだ。



