十人一色 ─トランスジェンダーをかかえたふたり─

(リクたちのような、前向きに努力できる人間になりたい)

 友だちとしてみんなと居て、恥ずかしくない人間になりたい。

 和香はぽっちゃり体型だから、まずそれをなんとかしたい。

 駅の階段の昇り降りだけで、膝が悲鳴をあげるレベルだ。

 ささやかながら、今の自分にできること。ダイエットをしようと考えた。

 川辺の遊歩道を歩きながら、リクや希沙たちの笑顔を思い起こして自分の口角をあげてみる。

「こんばんは。若い子がウォーキングなんて偉いねぇ」

 犬の散歩をしていたおばちゃんが、和香に声をかけてくれた。

「こ、こんばんは」

 うまく笑えたかわからないけど、和香は精一杯の笑顔でおばちゃんに挨拶を返した。