十人一色 ─トランスジェンダーをかかえたふたり─

「三限と四限は希沙が楽しみにしていた調理実習なのに、来れないなんて気の毒に」

「オレ二人が作ったやつ貰おうと思ってたのに、水沢のだけだと少ないな」

「もらう気満々じゃねーか」

「昨日、『明日の調理実習で炊き込みご飯つくる』って言ってたじゃん。だから弁当はおかずだけ持ってきた」

 いつも調理実習で作ったものをおすそ分けしているから、くれと言われなくても分けている。

 笑っちゃいけないが、ついつい笑ってしまう。

「それにしても、この調子だと今週末も電車動かないかな」

「なんだ? 水沢は週末どっか行くのか」

「学校説明会。絵のことを学べる学校っていくつかあるじゃん。だから手始めにA市にある美術学校の説明会に登録してたんだ」

 目標が決まっている人は高一のときから説明会に参加していると、進路指導の先生が言っていた。

 もう高二の冬だし、進学する先を決めておくべき時期だ。

 成績によって希望する奨学金をもらえるか否かも変わってくるから、勉強も手を抜けない。