十人一色 ─トランスジェンダーをかかえたふたり─

「うわー、水沢、今年もやってるのか」

「うるせー。今年もだよ。防水ブーツはいたって無理なもんは無理だ。ブーツ突き抜けて浸水してきやがる」

 教室に入ってきたリクが笑っている。

 リクの場合親の職場がこのあたりで、雪のある間は毎朝親が送ってくれる。

 うらやましいかぎりだ。

 和歌の父親も高校から車で十分くらいのところで働いているが、勤務開始が朝六時だから送ってもらうには少し都合が悪い。

 朝五時半だと早すぎて校門が開いていない。
 
「これでも一本早い電車で来たんだぞ」

「そのわりに普段通りの時間に着いてるのな。そういやニュースでバス電車ダイヤが乱れてるって言ってたかも」

「うちはまだマシな方だよ。三十分遅れでも動いたんだから。希沙がいつも乗ってるやつは午前中運休って駅の電光掲示板に出てたぞ」

 ブーツを干してから、和香は今日の時間割を確認する。