十人一色 ─トランスジェンダーをかかえたふたり─

 でも、そうか。

 卒業後東京に行くなら、リクと気軽に会えなくなるな。

 それは残念でならない。

 せっかく同志に巡り会えた気がしているのに。

「東京行ってからも長期休みには帰ってくるからさ、そんときはまたこんなふうに会おうぜ」

 和香の考えたことを知ってか知らずか、リクが言う。

 だから和香も本心で答えた。

「そのときはリクのために時間開けるから、いつでも来てくれよ。うまい店探しとくからさ」

「おぅ! 楽しみにしとくぜ」

 高校の、このメンバーでいるときだけだ。

 親は今でも

「女の子らしくなさい!」

「男言葉を使うなんてみっともない!」

 と怒るから、和香は食事の動作以外は親の前で口を開かない。

 男はこの言葉づかいで怒られないのに、「女なのにそんな口のきき方しちゃだめだ」なんて。

 高校生になってもまだ、納得いく答えをもらえた試しがない。