十人一色 ─トランスジェンダーをかかえたふたり─

 リクも同じことを感じているのかもしれない。

 他の子といるとき以上に、和香といるときのリクは仕草や言葉づかいが男っぽい。

 和香には気を置かなくていいんだと、思っているのだろう。

「水沢、バイト代が入ったら何に使うか決めてるのか?」

「家を出る。卒業したら自由になりたいんだ。ひとり暮らしのためのお金」

「いいじゃん! 応援するからがんばれよな」

 ぐっと親指を立ててリクは笑う。

「オレも高校卒業したら家を出るんだ。叶えたいことがある。それに、専門学校でダイビングの資格取りたいんだ。イルカとか、海洋生物とふれあいたい」

「すごいな。もう学校決めてるんだ」

「水沢も決めてるだろ、学校。いつもノートに絵を描いてるじゃん」

 やはり、和香のことをよく見ている。

「俺、イラストレーターの学校に行きたいんだ」

 絵描きなら、性別にとらわれず働ける。

 完成した絵がすべてだ。

 性別の関係ない仕事なら、きっと自由でいられると思った。