十人一色 ─トランスジェンダーをかかえたふたり─

 会計を終えて店の前でケータイをポチポチしてると、リクが聞いてくる。

「水沢もバイト始めたんだろ。何やってる?」

「俺はスーパーのレジ。リクは?」

「ファストフードのキッチンだ。制服がズボンなのが決め手だな。まかないつく上に金がもらえるとか、いいことしかない」

 あごに指を当ててドヤァと笑うリク。

「わかる。俺もジーパンTシャツにエプロンだからスーパーを選んだ」

 出会ってから一ヶ月経つが、和香はリクがスカートをはいているのを見ていない。

 あえてスカートが嫌いとは口にしないけれど、同族だとなんとなくわかる。

 それどころか、女物の服を着ているのを見たことがない。

 希沙や雪江や基本中学の制服を改造したスカート。

 リクも制服の中学校だったはずだから、やろうと思えば希沙たちのように中学の制服で来れる。

 そうだと本能で感じるだけで、口にするのははばかられた。

「リクも女でいたくないんだろう」、なんて。