マンションから駅前までのちょっとした距離で、私は今までの三次元的世界では経験したことのない、紳士的な振る舞いを目の当たりにして、ちょっと心の安定が取りづらくなっている。
エレベーターに乗る時とかは、むしろ私が彼をエスコートする側だったのだが、道を歩いている時の彼の気遣いはさり気なく、且つマメであった。
頼めば靴も履かせてくれそうな勢い。
車道側を歩かせないよう、そっと背中に掌を添えられた時、他人の体温をなかなか感じづらい生活をしている私は、思わず変な声を出してしまった。
歩道橋ではごく自然に左手が差し出され、まあそれを受け取ることはできなかったんだけど、客観的な構図は見てみたいので、もう一度再現していただきたい。
動画に撮るので。
俯瞰と煽りと、真横から。
3パターン程。
信号機の意味を問う真剣な横顔や、通り過ぎる車にびくっと身体を震わせ顔を背ける所とか、なんというか、世間知らずにも度が過ぎる。
まるで彼の目に映るあらゆる出来事は、彼の常識に存在していないかのような。
駅前スーパーの自動ドアに狼狽えた声を上げたイケメンは、入店した後もガラス扉を恐怖の目で振り返っていた。
開閉するガラス扉を見ながら「訳がわからない」と呟いているけど、訳がわからないのはこちらだ。
夕方に差し掛かっているこの時間帯は、人の出入りも多い。
入店してすぐの所に立ち止まっているにも関わらず、絶対二度見してしまいそうな美形外国人のことを、どの人もまるで存在していないかのように通り過ぎていく。
適当な恰好でイケメンの隣を歩く羽目になった私は、最初あれこれエスコートしてくれようとする彼の態度に、居た堪れない気持ちになっていたというのに。
この程度のイケメンは、令和の今たるや、そこら辺に沢山転がっているのだろうか。
社会との接点が少な過ぎる私にとっては、判断がつけ辛かった。
オレンジ色の買い物籠を渡すと、ぽかんと口を開いて私を見返す。
この反応である。
うまく表現できないけれど、とてもちぐはぐな感じ。
私も同じように籠を持って、店内へと足を進めると、困ったような顔でついてきた。
もしかしたら自分で買い物もしたことないお坊ちゃまなのだろうか。
「欲しい物を籠に入れればいいんですよ」と伝えると、途端に破顔して、すぐそこにある青果コーナーで、メロンやオレンジ、サクランボ等のパックを何個も入れていた。
食料尽きたっていってた気がするんだけど、果実食主義なのかな。
主食はどうする。
主菜は。肉を食わないと筋肉が落ちるぞ。
などとツッコミをいれつつ自分の夕飯に関して私は考え始めた。
エレベーターに乗る時とかは、むしろ私が彼をエスコートする側だったのだが、道を歩いている時の彼の気遣いはさり気なく、且つマメであった。
頼めば靴も履かせてくれそうな勢い。
車道側を歩かせないよう、そっと背中に掌を添えられた時、他人の体温をなかなか感じづらい生活をしている私は、思わず変な声を出してしまった。
歩道橋ではごく自然に左手が差し出され、まあそれを受け取ることはできなかったんだけど、客観的な構図は見てみたいので、もう一度再現していただきたい。
動画に撮るので。
俯瞰と煽りと、真横から。
3パターン程。
信号機の意味を問う真剣な横顔や、通り過ぎる車にびくっと身体を震わせ顔を背ける所とか、なんというか、世間知らずにも度が過ぎる。
まるで彼の目に映るあらゆる出来事は、彼の常識に存在していないかのような。
駅前スーパーの自動ドアに狼狽えた声を上げたイケメンは、入店した後もガラス扉を恐怖の目で振り返っていた。
開閉するガラス扉を見ながら「訳がわからない」と呟いているけど、訳がわからないのはこちらだ。
夕方に差し掛かっているこの時間帯は、人の出入りも多い。
入店してすぐの所に立ち止まっているにも関わらず、絶対二度見してしまいそうな美形外国人のことを、どの人もまるで存在していないかのように通り過ぎていく。
適当な恰好でイケメンの隣を歩く羽目になった私は、最初あれこれエスコートしてくれようとする彼の態度に、居た堪れない気持ちになっていたというのに。
この程度のイケメンは、令和の今たるや、そこら辺に沢山転がっているのだろうか。
社会との接点が少な過ぎる私にとっては、判断がつけ辛かった。
オレンジ色の買い物籠を渡すと、ぽかんと口を開いて私を見返す。
この反応である。
うまく表現できないけれど、とてもちぐはぐな感じ。
私も同じように籠を持って、店内へと足を進めると、困ったような顔でついてきた。
もしかしたら自分で買い物もしたことないお坊ちゃまなのだろうか。
「欲しい物を籠に入れればいいんですよ」と伝えると、途端に破顔して、すぐそこにある青果コーナーで、メロンやオレンジ、サクランボ等のパックを何個も入れていた。
食料尽きたっていってた気がするんだけど、果実食主義なのかな。
主食はどうする。
主菜は。肉を食わないと筋肉が落ちるぞ。
などとツッコミをいれつつ自分の夕飯に関して私は考え始めた。



