王子サマはBL漫画家(わたし)の部屋にパラサイト中


親愛なる担当編集者の顔は、やや肉が削げてきていたようだ。
目の下のクマは隠しようもないくらい濃く、もはや抵抗する気力すら残ってなさそう。
可哀相。

そして私の目の前には、締め切り寸前の漫画原稿と、異世界の食卓を改革するための『王子謹製:伝説の卵かけご飯』のレシピ考案という、新たな課題が山積していた。

だいたい醤油とか米とかフォルジェ王国に存在するのだろうか?
やっぱり魔法のエキスも入れこまないといけないのだろうか?
根が真面目な人間なので、細かい点が気になってしまう。

「確かに『醤油』にあたるものは存在していないな」

「それ以外は存在しているんですね……」

卵かけご飯を却下し、もう少し簡単なタルタルソース程度にしておきたかった私は、心底がっかりしてしまった。

「だが、それは豆を発酵させて生成したものなのだろう? 似たものならあるぞ」

「有るんですか……」

「コウが、『何でこの世界の食事はこんなに不味いんだ!』とキレながら、料理という料理にふりかけていた。一種の酒だがな。豆の発酵酒に、何か……塩味を足せば良くなりそうな気がする。取り寄せて試そう」

考え込んでいたアレクシスが手元のタブレット風石板を操作すると、ほどなくしてベッド上の魔法陣が煌めき、小樽が現出した。

「これだ」

片手で小樽を私に向かって放り投げる。

ちょといきなり重たいモノを投げつけないでほしい!

それに、突っ込み忘れたけれど、なにそれ。
異世界便利通販みたいなの。

オーパーツ類って、異世界持ち込みオッケーなの?