食糧庫および厨房を貸す対価としての、被写体をかって出ているアレクシスの広背筋を睨みつけながら、私は思わず呟いた。
「アレクシスさんてリアルアレス王子サマだったんですね……」
私の呪文のような言葉に、アレクシスが首だけこちらに傾けた。
「今は王子ではない。ただの修行の身だ」
「あ、前まだ向いていてください。このまま下絵に取り込みたいので描き切っちゃいたいです」
「む……」
アレクシスの指先が何かを持て余しているかのように、とんとんと組んだ腕の上でリズムをとる。
このところ、まともに包丁やピーラーを使えていないアレクシスは、少しだけ不機嫌そうにも見える。
もちろん、それを言葉にした訳ではない。
その辺りは王族教育とでも言えば良いのだろうか、義務である事を理解しているようで、文句ひとつ言わず、榊原からの無理難題にも応えている。
私は、この部屋にまさか大の男どもが三人も常駐するような状況になるとは、夢にも思っていなかったのだが、突拍子もない事が立て続けにあると、ある意味悟りの境地に至ったとでも言えばいいのだろうか。
なんだか流されるままに、とりあえず自分の役割をこなしている。
榊原主導の一方的な「リアルアレス王子」プロデュース計画により、アレクシスは料理コンテンツを発信するインフルエンサーへの道へ足を踏み込んだ。
既に、動画投稿サイトのアカウントが開設され、サムネイルには私の描いたアレス王子のイラストそっくりな、アレクシスがキラキラ笑顔で写っていた。
そっくりっていうか本人をモデルにしてるんだから、当たり前なんだけど。
「アレクシスさんてリアルアレス王子サマだったんですね……」
私の呪文のような言葉に、アレクシスが首だけこちらに傾けた。
「今は王子ではない。ただの修行の身だ」
「あ、前まだ向いていてください。このまま下絵に取り込みたいので描き切っちゃいたいです」
「む……」
アレクシスの指先が何かを持て余しているかのように、とんとんと組んだ腕の上でリズムをとる。
このところ、まともに包丁やピーラーを使えていないアレクシスは、少しだけ不機嫌そうにも見える。
もちろん、それを言葉にした訳ではない。
その辺りは王族教育とでも言えば良いのだろうか、義務である事を理解しているようで、文句ひとつ言わず、榊原からの無理難題にも応えている。
私は、この部屋にまさか大の男どもが三人も常駐するような状況になるとは、夢にも思っていなかったのだが、突拍子もない事が立て続けにあると、ある意味悟りの境地に至ったとでも言えばいいのだろうか。
なんだか流されるままに、とりあえず自分の役割をこなしている。
榊原主導の一方的な「リアルアレス王子」プロデュース計画により、アレクシスは料理コンテンツを発信するインフルエンサーへの道へ足を踏み込んだ。
既に、動画投稿サイトのアカウントが開設され、サムネイルには私の描いたアレス王子のイラストそっくりな、アレクシスがキラキラ笑顔で写っていた。
そっくりっていうか本人をモデルにしてるんだから、当たり前なんだけど。



