世間知らずの坊ちゃん然としたアレクシスは、どでかい木箱を抱え、翌日も我が家を訪れていた。
仕事はどうした。
生活環境を整えるのは終わったのか?
美貌という顔面武器と天然な押しに負け、家に上げてしまう自分の危機管理が若干心配になってくる。
先日のスーパー買い出しの際に、アレクシスが籠に入れた果物の多さに衝撃を受けた記憶が蘇る。
木箱の中は、りんごバナナオレンジさくらんぼ、と果物ばかり。
本当に食料が尽きたなら、まず主食を買うべきだろう。
「まさか、冷蔵庫の存在を知らないとは……」
思わず呟きながら、私はカレーのルーを鍋に入れた。
アレクシスは、調理台にぽんと置かれたカレールーの箱を物珍しそうに眺めている。
結局、一週間分の食料として購入していた鶏もも肉を解凍する。
簡単なものなら作れると答えてしまった手前、この状況になってしまった。
お腹を空かせた彼を前にして、断るほどの鬼にはなれなかったのだ。
至極まじめな顔で告げられる「お腹が空いた」という言葉は、なんだか妙に説得力があった。
それにしても、部屋が明るい場所で見るアレクシスは、やはり絵になる。
彫りの深い顔立ち、蜂蜜色の髪、そして憂いを帯びた蒼い瞳。
漫画のキャラクターとして描くなら、間違いなく人気が出そうなタイプだ。
特に、スーパーで自動ドアに驚いた時の表情などは、そのままネームに起こせそうだ。
「これは、一体どういう食べ物なのだろうか?」
湯気立つ鍋を覗き込み、アレクシスが尋ねた。
その視線は好奇心に満ちている。
「カレーです。ご飯と一緒に食べる日本の家庭料理ですよ」
適当に答えながら、私はご飯を炊飯器からよそった。
炊きたてのご飯の匂いが部屋中に広がり、アレクシスがごくりと喉を鳴らす。
カレーライスを並べると、アレクシスはわかりやすく目を輝かせた。
彼が手にしたスプーンの動きはどこかぎこちないが、それでも一口食べるごとに「おお」「これは……」と感嘆の声を上げる。
「美味しい、アヤノ! こんなに美味いものがこの世界にはあったのか……ニッポーンはいいところだな。安全、清潔、美味」
まるで初めて食べ物に出会ったかのような反応に、思わず笑みがこぼれる。
BL漫画家として、彼のそういう無垢な反応は非常に貴重な資料だ。
新しいキャラクターの創造に着手する日は、そう遠くない予感。
「それはよかったですね。ほら、遠慮しないでおかわりどうぞ」
そう言って、私はもう一杯よそってやった。
彼は嬉しそうにそれを受け取り、再び夢中になって食べ始めた。
彼の食事の様子を見ていると、なぜか私までお腹が空いてくる。
仕事はどうした。
生活環境を整えるのは終わったのか?
美貌という顔面武器と天然な押しに負け、家に上げてしまう自分の危機管理が若干心配になってくる。
先日のスーパー買い出しの際に、アレクシスが籠に入れた果物の多さに衝撃を受けた記憶が蘇る。
木箱の中は、りんごバナナオレンジさくらんぼ、と果物ばかり。
本当に食料が尽きたなら、まず主食を買うべきだろう。
「まさか、冷蔵庫の存在を知らないとは……」
思わず呟きながら、私はカレーのルーを鍋に入れた。
アレクシスは、調理台にぽんと置かれたカレールーの箱を物珍しそうに眺めている。
結局、一週間分の食料として購入していた鶏もも肉を解凍する。
簡単なものなら作れると答えてしまった手前、この状況になってしまった。
お腹を空かせた彼を前にして、断るほどの鬼にはなれなかったのだ。
至極まじめな顔で告げられる「お腹が空いた」という言葉は、なんだか妙に説得力があった。
それにしても、部屋が明るい場所で見るアレクシスは、やはり絵になる。
彫りの深い顔立ち、蜂蜜色の髪、そして憂いを帯びた蒼い瞳。
漫画のキャラクターとして描くなら、間違いなく人気が出そうなタイプだ。
特に、スーパーで自動ドアに驚いた時の表情などは、そのままネームに起こせそうだ。
「これは、一体どういう食べ物なのだろうか?」
湯気立つ鍋を覗き込み、アレクシスが尋ねた。
その視線は好奇心に満ちている。
「カレーです。ご飯と一緒に食べる日本の家庭料理ですよ」
適当に答えながら、私はご飯を炊飯器からよそった。
炊きたてのご飯の匂いが部屋中に広がり、アレクシスがごくりと喉を鳴らす。
カレーライスを並べると、アレクシスはわかりやすく目を輝かせた。
彼が手にしたスプーンの動きはどこかぎこちないが、それでも一口食べるごとに「おお」「これは……」と感嘆の声を上げる。
「美味しい、アヤノ! こんなに美味いものがこの世界にはあったのか……ニッポーンはいいところだな。安全、清潔、美味」
まるで初めて食べ物に出会ったかのような反応に、思わず笑みがこぼれる。
BL漫画家として、彼のそういう無垢な反応は非常に貴重な資料だ。
新しいキャラクターの創造に着手する日は、そう遠くない予感。
「それはよかったですね。ほら、遠慮しないでおかわりどうぞ」
そう言って、私はもう一杯よそってやった。
彼は嬉しそうにそれを受け取り、再び夢中になって食べ始めた。
彼の食事の様子を見ていると、なぜか私までお腹が空いてくる。



