あの日があったから

 「はい、チーズ!」
 スマホのシャッター音と一緒に、眩しいフラッシュが光る。
 画面の中で、私と、大好きな友人たちが笑顔で並んでいた。

 今日は、高校の卒業式。
 「卒業おめでとう」と言い合いながら、私たちは誰からともなくお互いのスマホに写真を残していく。
 誰も私を置いていかない。私の存在を忘れない。
 そんな仲間たちに出会えたことが何よりの幸せだ。

 胸に抱いた卒業証書の重みを感じながら、私はふと思う。
 もしあの時無理して前の教室に通い続けていたら、私は今、どんな顔をしていただろう。

 ずっと我慢していた心が擦り切れて、教室に行けなくなったあの日。私の人生はもう終わったのだと絶望した。
  だけど、今の私は胸を張って言える。
 あの息ができない教室を飛び出して、自分でこの場所を選んだこと。
 世間の普通とは違っても、自分の幸せを諦めなかったこと。

 ーーあの日の選択は、私の人生を変えた。

 いま、私はあの頃の痛みも、悔しさも、すべてを抱えたまま、ここに立っている。