翌朝の目覚めは最高だった。窓から見える景色はスペインの白い村をそのまま切り取ったようだ。白い壁と青空のコントラストが、日本とは思えない。バルコニーに出てシャッターを切る。
サッとシャワーを浴び、身支度をして、ホテルから歩いて数分のビュッフェレストランへ向かう。
レストランに入ると、スタッフに窓側の席に案内されて、コートを椅子にかけたら、いざビュッフェへ。
オリーブ、ハム、チーズが並ぶコーナーのすぐ隣に、出汁の香りがする味噌汁の鍋が、当たり前のように置かれている。地中海と伊勢志摩が、同じ空間にみごとに同居していた。
柚葉は皿を取り、地中海コーナーで物色する。スパニッシュオムレツ、チキンレバーのパテ、テリーヌ等を一切れずつ取っていく。半分が埋まった所で、伊勢野菜の彩りを添え、ハモンセラーノ、スモークサーモンとフェタチーズ、黒、緑、赤の大粒のオリーブを乗せる。ケッパーを散らして、雑穀パンをトーストにして添えた。
もう一枚には、伊勢の郷土料理をひと通り盛る。お茶碗にご飯を軽くよそい、温泉卵を割り入れ、牡蠣のしぐれ煮をのせた。磯の香りが強い、アカモクの小鉢も添える。釜揚げしらすに大根おろしを乗せたものも、忘れずに取った。
普段、平日の朝はパンで軽く済ませることが多いのに、出張になると途端にこうなる。欲張りなのは自覚している。でも写真のためだ、と自分に言い聞かせる。
二枚のお皿を写真に収めると、真っ赤なコールドプレスジュースをいただく。ビーツやセロリが入っているらしい。結構好きな味。
いざ実食。まずは伊勢野菜から。地野菜は美味しい。トマトやパプリカ、ルッコラなどの野菜は、身体を目覚めさせる。次に、フェタチーズとケッパーを乗せたサーモンを一緒に口に運ぶと、質の違う塩気が、口の中でちょうどよく混ざり合っていく。
隣の皿の伊勢料理も頂く。京都のおばんざいにも似ているけれど、圧倒的に海藻料理が多いと感じた。魚や貝のお料理も。青さのペーストは、思っていたより甘くなかった。
次に、ご飯茶碗を手に取る。温泉卵の黄身が牡蠣のしぐれ煮に絡んで、ご飯を薄く染めている。そこに伊勢海老の味噌汁を合わせる。伊勢海老の頭で出汁をとったもので、これは伊勢らしい贅沢な一品だろう。
今日はこのあと牡蠣があることを忘れてはならない。さすがに食べすぎるのはよくない、と思いながら、気づけば二枚とも空になっていた。デザートはスキップしてコーヒーだけ頂く。
満腹すぎる……でも幸福感がヤバい。
窓から眺める、アンダルシア村の朝は、白い壁に柔らかな日差しが差し込み、白の世界と言う感じで目の保養だ。
その後、柚葉は支配人との商談のために、奥のミーティングスペースへ移動した。
提案資料を挟んで具体的な意見を交わす。
「冬の宿泊プランに、地元の日本酒の利き酒セットを入れられませんか」と提案すると、「面白そうですね。地中海料理とのペアリングなら、海外のお客さまにも受けそうです」と好感触だった。
アンダルシア村で予定されている、試飲イベントのフィードバックや来期のワインフェアの件についてもまとまっていった。途中、料理長も交えて、春夏の料理と日本酒やワインのペアリングメニューも固める。昨日のメモが役にたって良かった。
商談はスムーズに終わり、時間に余裕があったから、日中の写真撮影のためにレストランを出て、散策してみる。
白い建造物、石畳、青空が揃うとまるで、アンダルシアみたいだ。でもそれよりも、記憶の中の南仏のニースに近いかもしれない、と思った。
夜は分からなかったが、朝は空と海の色が白壁に映える。白い街と、海と空の青の比率を確かめるように、何枚も角度を変えてカメラで切り取った。
「ここ、変にヨーロッパに寄せすぎてないのがいい」
誰に聞かせるでもなく呟く。昨日クローズしていた、カフェやジェラート屋さん、印象的な建物、メニュー看板なども撮っておく。散歩するのにもちょうど良い場所だ。
今日のイベントブースは信頼できる現地スタッフに任せてあるし、トラブルも起きていないから、通常通り半休とさせていただこう。
ホテルに戻り、荷作りを済ませて、バルコニーから白い街を最後に見下ろす。そして、次の行先の鳥羽の海の事に思いを巡らせた。
サッとシャワーを浴び、身支度をして、ホテルから歩いて数分のビュッフェレストランへ向かう。
レストランに入ると、スタッフに窓側の席に案内されて、コートを椅子にかけたら、いざビュッフェへ。
オリーブ、ハム、チーズが並ぶコーナーのすぐ隣に、出汁の香りがする味噌汁の鍋が、当たり前のように置かれている。地中海と伊勢志摩が、同じ空間にみごとに同居していた。
柚葉は皿を取り、地中海コーナーで物色する。スパニッシュオムレツ、チキンレバーのパテ、テリーヌ等を一切れずつ取っていく。半分が埋まった所で、伊勢野菜の彩りを添え、ハモンセラーノ、スモークサーモンとフェタチーズ、黒、緑、赤の大粒のオリーブを乗せる。ケッパーを散らして、雑穀パンをトーストにして添えた。
もう一枚には、伊勢の郷土料理をひと通り盛る。お茶碗にご飯を軽くよそい、温泉卵を割り入れ、牡蠣のしぐれ煮をのせた。磯の香りが強い、アカモクの小鉢も添える。釜揚げしらすに大根おろしを乗せたものも、忘れずに取った。
普段、平日の朝はパンで軽く済ませることが多いのに、出張になると途端にこうなる。欲張りなのは自覚している。でも写真のためだ、と自分に言い聞かせる。
二枚のお皿を写真に収めると、真っ赤なコールドプレスジュースをいただく。ビーツやセロリが入っているらしい。結構好きな味。
いざ実食。まずは伊勢野菜から。地野菜は美味しい。トマトやパプリカ、ルッコラなどの野菜は、身体を目覚めさせる。次に、フェタチーズとケッパーを乗せたサーモンを一緒に口に運ぶと、質の違う塩気が、口の中でちょうどよく混ざり合っていく。
隣の皿の伊勢料理も頂く。京都のおばんざいにも似ているけれど、圧倒的に海藻料理が多いと感じた。魚や貝のお料理も。青さのペーストは、思っていたより甘くなかった。
次に、ご飯茶碗を手に取る。温泉卵の黄身が牡蠣のしぐれ煮に絡んで、ご飯を薄く染めている。そこに伊勢海老の味噌汁を合わせる。伊勢海老の頭で出汁をとったもので、これは伊勢らしい贅沢な一品だろう。
今日はこのあと牡蠣があることを忘れてはならない。さすがに食べすぎるのはよくない、と思いながら、気づけば二枚とも空になっていた。デザートはスキップしてコーヒーだけ頂く。
満腹すぎる……でも幸福感がヤバい。
窓から眺める、アンダルシア村の朝は、白い壁に柔らかな日差しが差し込み、白の世界と言う感じで目の保養だ。
その後、柚葉は支配人との商談のために、奥のミーティングスペースへ移動した。
提案資料を挟んで具体的な意見を交わす。
「冬の宿泊プランに、地元の日本酒の利き酒セットを入れられませんか」と提案すると、「面白そうですね。地中海料理とのペアリングなら、海外のお客さまにも受けそうです」と好感触だった。
アンダルシア村で予定されている、試飲イベントのフィードバックや来期のワインフェアの件についてもまとまっていった。途中、料理長も交えて、春夏の料理と日本酒やワインのペアリングメニューも固める。昨日のメモが役にたって良かった。
商談はスムーズに終わり、時間に余裕があったから、日中の写真撮影のためにレストランを出て、散策してみる。
白い建造物、石畳、青空が揃うとまるで、アンダルシアみたいだ。でもそれよりも、記憶の中の南仏のニースに近いかもしれない、と思った。
夜は分からなかったが、朝は空と海の色が白壁に映える。白い街と、海と空の青の比率を確かめるように、何枚も角度を変えてカメラで切り取った。
「ここ、変にヨーロッパに寄せすぎてないのがいい」
誰に聞かせるでもなく呟く。昨日クローズしていた、カフェやジェラート屋さん、印象的な建物、メニュー看板なども撮っておく。散歩するのにもちょうど良い場所だ。
今日のイベントブースは信頼できる現地スタッフに任せてあるし、トラブルも起きていないから、通常通り半休とさせていただこう。
ホテルに戻り、荷作りを済ませて、バルコニーから白い街を最後に見下ろす。そして、次の行先の鳥羽の海の事に思いを巡らせた。



