疎まれてきた最強妖狐は、優しすぎる天狗と政略結婚する

 雑木林を進むと、少し色褪せた小さな屋敷があった。
 ……ここが、今日から私が住むところ。
 佐狐(さこ)家の屋敷や、天倉(あまくら)家の屋敷に比べたら、すごく小さい。
 でも、まあ、住めるだろう。
「……荷物、貸してください。花楓(かえで)さん」
「あ……。いえ、大丈夫です」
 他人(ひと)に物を渡すのには、抵抗があった。
 何か、いたずらされるかもしれない、と思ってしまうから。
 昔、そういうことがあったから。
「そうか……」
 真人(まこと)さんは、あっさり引き下がって、屋敷に向かって歩き出した。
 私も、その後を追う。