疎まれてきた最強妖狐は、優しすぎる天狗と政略結婚する

「……花楓(かえで)。…………お前には、嫁いでもらうことになった」
「え……?」
 本当に突然だった。
「ど、どういう……」
「相手は、天倉(あまくら)家のご子息、真人(まこと)さんだ」
 天倉(あまくら)家って……、貴族、だよね?
「そういうことだから、準備を進めておくように」
「え、ちょっと……」
 一言も言ってくれなかったな。
 本当に突然だった。
 少しくらいは相談があるものなんじゃないの?
 ……まあ、そうか。
 私のことなんて、大嫌いだから。
 早くこの家を出て行ってほしいから。
 ……しかも、それで、自分の身分が上がるんだもんな。
「……はあ。結婚、ね……」
 正直、したくない。
 全く関わったことのない人との結婚なんて、地獄でしかない。
 周りの使用人は、私を遠巻きに見ている。
 ……でも、この家を出られるのなら、良いのかもしれないな。