しばらくして、ようやく頭の中が冷静になってきた。
まだ繋がったままの手に気づいて、顔が熱くなる。
(……なにやってるの、私……!)
「ご、ごめん」
何となく謝って、真尋の手からそっと離れる。
「……いえ」
私が立ち上がると、真尋も隣で腰を上げた。
ふと、床に落ちている札が目に入る。
「あ……」
さっき影に貼りつけた札だ。
拾い上げると、表面が黒く焦げていた。
「また焦げてる……」
そのままお守り袋へしまおうとすると、真尋が札を覗き込んだ。
「それ、以前焦げたものですか? それとも新しいものですか?」
「え?」
その言葉に、以前真尋に言われたことを思い出す。
『念のため、それは持っていてください。ただ、一度燃えたものです。以前と同じ効力があるかはわかりません』
(そ、そうだ――!)
古いお札は、以前と同じ効力があるかわからないって、真尋さんも気にしてた。
なのに私、あのあと2枚とも一緒にお守り袋に入れちゃって――。
「…………」
さあっと血の気が引いた。
慌ててお守り袋からもう1枚の札を取り出す。
右手と左手に1枚ずつ持って、穴があくほど見比べた。
真っ直ぐに向けられる真尋の視線が痛い。
「……もしかして」
「……一緒に入れてたから、わかんなくなっちゃった」
「…………」
真尋が2枚の札を見比べる。
けれど、やはり見分けはつかないらしい。小さく息をつくと、札を揃えてこちらに差し出してきた。
「……あれだけ勢いよく貼っていたので、新しいお札だと思っていました」
「……ごめんってば!」
『悪霊退散!』の台詞ごと思い出して我ながら恥ずかしくなり、2枚のお札をお守り袋へしまう。
それから、壁際に座り込んだ男子学生へ目を向けた。
「あの人……ちゃんと戻れるかな?」
「確認してみましょう」
真尋が男子学生のもとへ歩いていく。
「大丈夫ですか?」
「……ん……」
呼びかけに、男子学生がゆっくりと顔を上げた。
ぼんやりと辺りを見回し、不思議そうに眉を寄せる。
「あれ……俺、何してたんだっけ……。確か、部活のやつらと話してて……」
そこでようやく、今いる場所に気づいたらしい。
「……なんでこんなとこにいるんだ?」
「あー……それは……」
どうしよう。
妖に取り憑かれて暴れてました、なんて口が滑っても言えない。
「全然覚えてないんだけど……。部活のやつらと話してたところまでは覚えてるんだよな。俺、なんかやらかしてない?」
不安そうに首をかしげる男子学生に、私は慌てて口を挟んだ。
「や、やらかしてない! 覚えてないのは……たぶん疲れてたんじゃない? ほら、大学生っていろいろ大変そうだし。単位とか……就活とか」
「俺、一年だけど」
「じゃあ彼女と喧嘩して」
「いねえよ」
「あなたは、何もしていませんよ」
それまで黙っていた真尋が、静かに割って入る。
男子学生の顔がぱっと明るくなった。
「ほ、本当ですか?」
「ええ」
よかった、と男子学生が胸を撫でおろす。
「僕に襲いかかってきたのは、あなた自身の意志ではありませんから」
「真尋さん!?」
「え?」
慌てて止めようとしたけれど、もう遅い。
男子学生の顔がみるみる引きつっていく。
「いま……襲いかかったって言った……?」
「気のせい!」
「そんな具体的な気のせいある!?」
必死で手を振る私をよそに、真尋はどこまでも涼しい顔だ。
「……まあ、大事には至りませんでした。危ない場面はありましたが」
「余計な追加情報いらないから!!」
男子学生の顔がますます青ざめていく。
もうだめだ。この人、絶対わざとやってる。
「ほら、真尋さん。行くよ!」
男子学生が自分で立ち上がれるのを確認すると、私は真尋の背中をぐいぐいと押した。
「え、ちょっと待って。結局、俺は何を――」
「気にしないで! 何もしてないから!」
なおも聞きたそうな男子学生を残し、私は真尋を押し出すようにして、そそくさと部屋をあとにした。
扉を閉めた途端、廊下の向こうから学生たちの話し声が耳に飛び込んでくる。さっきまでの騒ぎが嘘みたいに、廊下は穏やかだった。
「もう、真尋さん。なんであんなこと言うの」
「何かおかしなことを言いましたか?」
「絶対わかってて言ってたでしょ」
真尋は答えない。
(……やっぱり、わざとだ)
「……もう」
私たちは並んで、来た道を戻り始めた。
「そういえば、みとさん。今日ここに来ること、秘密だったんですか?」
「あ、そういうわけじゃないけど……」
「東都大を目指しているんですね。……それで、あのときのお母さまは、あのような反応をされていたんですね」
「ね、狙ってない! 私じゃなくて……充希が」
「充希?」
「あ、さっき一緒にいた男の子」
「ああ……幼なじみなんですか?」
「うん。小学生の頃から、なんだかんだ縁があって」
「そうなんですね。仲がよさそうですもんね」
「え?」
思わず真尋を見る。
「いやいや、単に幼なじみだから遠慮がないだけで……あれのどこが仲よさそうに見えるの!?」
「……そうですか」
真尋は納得したような、していないような曖昧な返事をして、前を向いた。
「…………」
なんとなく釈然としないけれど、これ以上説明するのも変な気がして、私も仕方なく口を閉じる。
そのときふと、気になっていたことを思い出した。
「あ、そうだ。さっき一緒に案内してた女の人……この間の手紙の人?」
「詩織さんですか? そうです」
「例の件のこと……どうなったのか、聞いてもいい?」
「ああ、そのことなんですが」
真尋は一呼吸置いた。
「今度、帰りにうちに寄ってもらうことにしました」
「え」
学校帰りに、真尋さんと一緒にお寺へ。
その光景が頭に浮かんだ途端、なんだか落ち着かなくなる。
「それで、みとさんの予定を聞いておこうと思いまして。みとさんが来ない日に、詩織さんには来てもらおうかと」
――私が来ない日。
その言葉が、妙に引っかかった。
「……私もいちゃダメ?」
「え?」
真尋が目を瞬かせる。
口をついて出た言葉に、私は慌てて続ける。
「ほ、ほら。この間悠斗さんが来た日はあんななっちゃったけど……配信がない日なら大丈夫でしょ?」
「それはそうですが……」
「もちろん邪魔はしないよ。詩織さんと話してる間は、端っこで静かに勉強してるから」
「でも、相談で来るので、あまり勉強を教える時間は取れないかもしれませんが……」
「ぜんぜん大丈夫! 勝手に参考書とか進めてるから。帰るときに真尋さんに提出して、はい終了! でいいし」
「提出?」
「そう。時間ができたときにでも採点してもらえれば、それで十分」
それに――。
腰のお守り袋を軽く叩く。
「もし妖が出たら、今度は2枚とも貼って、古いほうも効くか確かめたいし」
「2枚とも貼ったら、古いお札が効いたのかわからないのでは?」
「あ」
「……」
「じゃ、じゃあ1枚ずつ!」
ちょっと投げやりだっただろうか。真尋の反応が怖い。
けれど真尋は、それ以上追及することなく、ふっと表情を緩めた。
「……わかりました。彼女にも聞いてみます。来週の月曜か火曜日あたりなら大丈夫ですか?」
「うん!」
そのまま廊下を歩いていると、少しずつ人の姿が増えてきた。
どうやら、さっきの場所は校舎の端のほうだったらしい。
「このまま戻ったら、変に思われるかな」
「そうですね……途中で会ったことにしますか?」
「あ、それがいいかも」
そんな話をしながら、2人で体育館へ戻る。
中へ入ると、なあ子と充希がすぐにこちらに気づいて近付いてきた。
「みと、大丈夫? お腹でも痛かった?」
「う、ううん。ちょっと……」
「遅かったな」
充希が呆れたようにこっちを見る。
それから隣にいる真尋に気づいて、にやっとした。
「どうせみとが迷子になってたの、拾ってもらったんだろ」
「なってないし!」
「お前、昔から方向音痴だろ。運動会の打ち上げんときも、一人で逆方向帰ろうとしてたじゃん」
「それ、いつの話!?」
さっそく言い合いになる私たちを、真尋は黙って見ていたが、
「いえ」
不意に、彼の静かな声が割って入る。
「具合の悪そうな学生がいたので、2人で様子を見ていたんです」
「え、そうなんですか?」
驚く充希。私は思わず真尋を見る。
なんだか庇ってくれたみたいだけど――わざわざ口を挟むほどのことだった?
(ま、まあ……間違いではないけども!)
「あ、真尋。これ」
悠斗が近づいてきて、真尋に何かの資料を差し出した。
真尋がそれを受け取る。その手が、ふいに目に入った。
「…………っ」
さっきまで繋がっていた手。
そう思った途端、また顔が熱くなる。
(あ、あれは不可抗力! 変な意味なんてないし……真尋さんだって、そんなつもりじゃないんだから)
頭の中でぐるぐる言い訳しながら真尋を見ると、不意に目が合った。
真尋が、ほんの少し首をかしげる。
(な、何でもないから!)
「みと?」
なあ子が不思議そうに顔を覗き込んでくる。
「なんか顔赤くない?」
「は、走ってきたから!」
「え、二人で?」
「…………」
「…………」
なあ子の視線が、私と真尋の間を行ったり来たりする。
「走った……くらい急いで歩いてきた」
「意味がわからん」
「なんでそんな怪しいんだよ」
「も、黙秘権の行使!」
私は誤魔化すようにパンフレットで顔を扇いだ。
まだ繋がったままの手に気づいて、顔が熱くなる。
(……なにやってるの、私……!)
「ご、ごめん」
何となく謝って、真尋の手からそっと離れる。
「……いえ」
私が立ち上がると、真尋も隣で腰を上げた。
ふと、床に落ちている札が目に入る。
「あ……」
さっき影に貼りつけた札だ。
拾い上げると、表面が黒く焦げていた。
「また焦げてる……」
そのままお守り袋へしまおうとすると、真尋が札を覗き込んだ。
「それ、以前焦げたものですか? それとも新しいものですか?」
「え?」
その言葉に、以前真尋に言われたことを思い出す。
『念のため、それは持っていてください。ただ、一度燃えたものです。以前と同じ効力があるかはわかりません』
(そ、そうだ――!)
古いお札は、以前と同じ効力があるかわからないって、真尋さんも気にしてた。
なのに私、あのあと2枚とも一緒にお守り袋に入れちゃって――。
「…………」
さあっと血の気が引いた。
慌ててお守り袋からもう1枚の札を取り出す。
右手と左手に1枚ずつ持って、穴があくほど見比べた。
真っ直ぐに向けられる真尋の視線が痛い。
「……もしかして」
「……一緒に入れてたから、わかんなくなっちゃった」
「…………」
真尋が2枚の札を見比べる。
けれど、やはり見分けはつかないらしい。小さく息をつくと、札を揃えてこちらに差し出してきた。
「……あれだけ勢いよく貼っていたので、新しいお札だと思っていました」
「……ごめんってば!」
『悪霊退散!』の台詞ごと思い出して我ながら恥ずかしくなり、2枚のお札をお守り袋へしまう。
それから、壁際に座り込んだ男子学生へ目を向けた。
「あの人……ちゃんと戻れるかな?」
「確認してみましょう」
真尋が男子学生のもとへ歩いていく。
「大丈夫ですか?」
「……ん……」
呼びかけに、男子学生がゆっくりと顔を上げた。
ぼんやりと辺りを見回し、不思議そうに眉を寄せる。
「あれ……俺、何してたんだっけ……。確か、部活のやつらと話してて……」
そこでようやく、今いる場所に気づいたらしい。
「……なんでこんなとこにいるんだ?」
「あー……それは……」
どうしよう。
妖に取り憑かれて暴れてました、なんて口が滑っても言えない。
「全然覚えてないんだけど……。部活のやつらと話してたところまでは覚えてるんだよな。俺、なんかやらかしてない?」
不安そうに首をかしげる男子学生に、私は慌てて口を挟んだ。
「や、やらかしてない! 覚えてないのは……たぶん疲れてたんじゃない? ほら、大学生っていろいろ大変そうだし。単位とか……就活とか」
「俺、一年だけど」
「じゃあ彼女と喧嘩して」
「いねえよ」
「あなたは、何もしていませんよ」
それまで黙っていた真尋が、静かに割って入る。
男子学生の顔がぱっと明るくなった。
「ほ、本当ですか?」
「ええ」
よかった、と男子学生が胸を撫でおろす。
「僕に襲いかかってきたのは、あなた自身の意志ではありませんから」
「真尋さん!?」
「え?」
慌てて止めようとしたけれど、もう遅い。
男子学生の顔がみるみる引きつっていく。
「いま……襲いかかったって言った……?」
「気のせい!」
「そんな具体的な気のせいある!?」
必死で手を振る私をよそに、真尋はどこまでも涼しい顔だ。
「……まあ、大事には至りませんでした。危ない場面はありましたが」
「余計な追加情報いらないから!!」
男子学生の顔がますます青ざめていく。
もうだめだ。この人、絶対わざとやってる。
「ほら、真尋さん。行くよ!」
男子学生が自分で立ち上がれるのを確認すると、私は真尋の背中をぐいぐいと押した。
「え、ちょっと待って。結局、俺は何を――」
「気にしないで! 何もしてないから!」
なおも聞きたそうな男子学生を残し、私は真尋を押し出すようにして、そそくさと部屋をあとにした。
扉を閉めた途端、廊下の向こうから学生たちの話し声が耳に飛び込んでくる。さっきまでの騒ぎが嘘みたいに、廊下は穏やかだった。
「もう、真尋さん。なんであんなこと言うの」
「何かおかしなことを言いましたか?」
「絶対わかってて言ってたでしょ」
真尋は答えない。
(……やっぱり、わざとだ)
「……もう」
私たちは並んで、来た道を戻り始めた。
「そういえば、みとさん。今日ここに来ること、秘密だったんですか?」
「あ、そういうわけじゃないけど……」
「東都大を目指しているんですね。……それで、あのときのお母さまは、あのような反応をされていたんですね」
「ね、狙ってない! 私じゃなくて……充希が」
「充希?」
「あ、さっき一緒にいた男の子」
「ああ……幼なじみなんですか?」
「うん。小学生の頃から、なんだかんだ縁があって」
「そうなんですね。仲がよさそうですもんね」
「え?」
思わず真尋を見る。
「いやいや、単に幼なじみだから遠慮がないだけで……あれのどこが仲よさそうに見えるの!?」
「……そうですか」
真尋は納得したような、していないような曖昧な返事をして、前を向いた。
「…………」
なんとなく釈然としないけれど、これ以上説明するのも変な気がして、私も仕方なく口を閉じる。
そのときふと、気になっていたことを思い出した。
「あ、そうだ。さっき一緒に案内してた女の人……この間の手紙の人?」
「詩織さんですか? そうです」
「例の件のこと……どうなったのか、聞いてもいい?」
「ああ、そのことなんですが」
真尋は一呼吸置いた。
「今度、帰りにうちに寄ってもらうことにしました」
「え」
学校帰りに、真尋さんと一緒にお寺へ。
その光景が頭に浮かんだ途端、なんだか落ち着かなくなる。
「それで、みとさんの予定を聞いておこうと思いまして。みとさんが来ない日に、詩織さんには来てもらおうかと」
――私が来ない日。
その言葉が、妙に引っかかった。
「……私もいちゃダメ?」
「え?」
真尋が目を瞬かせる。
口をついて出た言葉に、私は慌てて続ける。
「ほ、ほら。この間悠斗さんが来た日はあんななっちゃったけど……配信がない日なら大丈夫でしょ?」
「それはそうですが……」
「もちろん邪魔はしないよ。詩織さんと話してる間は、端っこで静かに勉強してるから」
「でも、相談で来るので、あまり勉強を教える時間は取れないかもしれませんが……」
「ぜんぜん大丈夫! 勝手に参考書とか進めてるから。帰るときに真尋さんに提出して、はい終了! でいいし」
「提出?」
「そう。時間ができたときにでも採点してもらえれば、それで十分」
それに――。
腰のお守り袋を軽く叩く。
「もし妖が出たら、今度は2枚とも貼って、古いほうも効くか確かめたいし」
「2枚とも貼ったら、古いお札が効いたのかわからないのでは?」
「あ」
「……」
「じゃ、じゃあ1枚ずつ!」
ちょっと投げやりだっただろうか。真尋の反応が怖い。
けれど真尋は、それ以上追及することなく、ふっと表情を緩めた。
「……わかりました。彼女にも聞いてみます。来週の月曜か火曜日あたりなら大丈夫ですか?」
「うん!」
そのまま廊下を歩いていると、少しずつ人の姿が増えてきた。
どうやら、さっきの場所は校舎の端のほうだったらしい。
「このまま戻ったら、変に思われるかな」
「そうですね……途中で会ったことにしますか?」
「あ、それがいいかも」
そんな話をしながら、2人で体育館へ戻る。
中へ入ると、なあ子と充希がすぐにこちらに気づいて近付いてきた。
「みと、大丈夫? お腹でも痛かった?」
「う、ううん。ちょっと……」
「遅かったな」
充希が呆れたようにこっちを見る。
それから隣にいる真尋に気づいて、にやっとした。
「どうせみとが迷子になってたの、拾ってもらったんだろ」
「なってないし!」
「お前、昔から方向音痴だろ。運動会の打ち上げんときも、一人で逆方向帰ろうとしてたじゃん」
「それ、いつの話!?」
さっそく言い合いになる私たちを、真尋は黙って見ていたが、
「いえ」
不意に、彼の静かな声が割って入る。
「具合の悪そうな学生がいたので、2人で様子を見ていたんです」
「え、そうなんですか?」
驚く充希。私は思わず真尋を見る。
なんだか庇ってくれたみたいだけど――わざわざ口を挟むほどのことだった?
(ま、まあ……間違いではないけども!)
「あ、真尋。これ」
悠斗が近づいてきて、真尋に何かの資料を差し出した。
真尋がそれを受け取る。その手が、ふいに目に入った。
「…………っ」
さっきまで繋がっていた手。
そう思った途端、また顔が熱くなる。
(あ、あれは不可抗力! 変な意味なんてないし……真尋さんだって、そんなつもりじゃないんだから)
頭の中でぐるぐる言い訳しながら真尋を見ると、不意に目が合った。
真尋が、ほんの少し首をかしげる。
(な、何でもないから!)
「みと?」
なあ子が不思議そうに顔を覗き込んでくる。
「なんか顔赤くない?」
「は、走ってきたから!」
「え、二人で?」
「…………」
「…………」
なあ子の視線が、私と真尋の間を行ったり来たりする。
「走った……くらい急いで歩いてきた」
「意味がわからん」
「なんでそんな怪しいんだよ」
「も、黙秘権の行使!」
私は誤魔化すようにパンフレットで顔を扇いだ。


