(昇二様も同じお考えでしたら、わたくしの夢は潰えてしまう……)
昇二を見つめる美也子の瞳が、不安げに揺らいだ。華族令嬢として常に自身を律するように教育を受けてきた美也子が初めて見せた弱さ。
昇二は、美也子の見せた脆さに驚いた。美也子は、彼の顔に浮かんだ表情を別の意味として受け取ってしまった。
(やはり、女の自分には分不相応な夢だった、ということですわね)
どれだけ時代が変わろうとしていても、まだ女に求められている姿は、良妻賢母。よい妻で、賢い母になること。夫を敬い、跡継ぎを生んで育て上げ、老婆になったら、子に従う。
女が学をつけても生意気になる一方だと、嫌煙する風潮は根強い。
それでも美也子は、祈っていたのだ。結婚相手が、鷹司男爵の次男と聞いた美也子は、万が一の奇跡が起きることを。
家業の勉強のため、海外に遊学していた経験がある昇二なら、女でも学びは必要だと言ってくれると。勝手に信じていた。
美也子は、目を伏せた。これ以上、女のくせに上の学校に行きたいとふざけたことをいう人間だ、という顔で見られたくなかった。それなら、冷笑される方がまだマシだ。
美也子の目頭が熱くなる。恥ずかしさと、叶う前に敗れた夢の持っていき方がわからない。それでも、何か言わねば。
荒くなる息を何とか整えた美也子が、「忘れてください」というより先に。
「師範学校に行くくらいなら、女子大学校にするんだな。それなら学費を出そう」
昇二が命じた。今まで一番、優しい声色だった。
昇二を見つめる美也子の瞳が、不安げに揺らいだ。華族令嬢として常に自身を律するように教育を受けてきた美也子が初めて見せた弱さ。
昇二は、美也子の見せた脆さに驚いた。美也子は、彼の顔に浮かんだ表情を別の意味として受け取ってしまった。
(やはり、女の自分には分不相応な夢だった、ということですわね)
どれだけ時代が変わろうとしていても、まだ女に求められている姿は、良妻賢母。よい妻で、賢い母になること。夫を敬い、跡継ぎを生んで育て上げ、老婆になったら、子に従う。
女が学をつけても生意気になる一方だと、嫌煙する風潮は根強い。
それでも美也子は、祈っていたのだ。結婚相手が、鷹司男爵の次男と聞いた美也子は、万が一の奇跡が起きることを。
家業の勉強のため、海外に遊学していた経験がある昇二なら、女でも学びは必要だと言ってくれると。勝手に信じていた。
美也子は、目を伏せた。これ以上、女のくせに上の学校に行きたいとふざけたことをいう人間だ、という顔で見られたくなかった。それなら、冷笑される方がまだマシだ。
美也子の目頭が熱くなる。恥ずかしさと、叶う前に敗れた夢の持っていき方がわからない。それでも、何か言わねば。
荒くなる息を何とか整えた美也子が、「忘れてください」というより先に。
「師範学校に行くくらいなら、女子大学校にするんだな。それなら学費を出そう」
昇二が命じた。今まで一番、優しい声色だった。

