「僕は高校二年男子の小早川春樹十七歳。実はこの度、人生で初めての彼氏ができましたぁ! やったぁ!」
そう言いふらしたくてウズウズする。もちろんそんなことを口に出せる訳がなく、実際は頬をニマニマさせるだけ。
ゲイってだけで少数派。それが、まさかの想いが通じるなんて! 信じられなくて幸せで。
けれど、高校男子の僕たちには、ここらが本当の大きな壁だったんだ。
だって、男性を好きになるって普通じゃないし、誰にも相談できないし。それがまさかの両想いだよ?
男性同士で恋人ってどうしたらいいのか。普通に男子高校生をしていた僕には、それを知る術がなかったんだ。
そんな手探りの僕らのBLを、ぜひ誰かに知って欲しい!
◇◇◇
僕の彼氏は本田琉翔。隣のクラスのサッカー部男子。琉翔は二年の夏にサッカー部のレギュラー入りした。三年が抜けたら絶対にレギュラーになりたいと言い、毎日自主練を頑張っていた。その姿がカッコよくて。
自分の目標にブレずに向かう姿を見ると胸がキュンキュンした。僕はそんな琉翔に恋をした。
こっそり見つめているだけで十分だったある日。
自主練をしていた琉翔のサッカーボールが僕の元に転がってきた。壁に向かって蹴っていたボールが変な跳ね方をしたのだ。
「悪い! ぶつからなかった?」
息を切らして僕に向かってくる琉翔があまりにカッコよくて心臓が止まりそうだった。
急な出来事に僕はややパニックになった。琉翔に返事が返せず、ボールを蹴り返した。
だけど力んでしまったのだろう。ボールが勢いをもって飛んだ。それを琉翔が足でキャッチする。
「わっ! サンキュ。てか、いい脚してんね」
太陽のように笑う琉翔が輝いている。僕は何故か恥ずかしくて隠れたくて。
せっかく声を掛けてくれたのに、返事ひとつ返せない自分の情けなさに涙が滲んだ。
琉翔はボールが足元に戻ったのに、動かずにじっとこちらを見ている。
――早く自主練に戻って! お願いだ!
見ていたことがバレたら大変だ。琉翔にときめいているなど、本人に知られたら気持ち悪いと避けられる。学校中の噂になるかもしれない。
どうにかして誤魔化すことはできないだろうか。
そんなことで頭がいっぱいになり立ち尽くした。
「なぁ、体調でも悪い?」
はっと気が付くと、琉翔がすぐそばまで来ている。
「なな、なんでも、ない!」
必死に声を出したけれど。琉翔は首を傾げてひょいっと僕の顔を覗き込んだ。
憧れの人の接近に心臓がバクバクと騒ぎだす。
「顔、赤いぞ。熱中症? ちょい座ったら?」
「いや、ゴメン! 自主練の邪魔するつもりなんてなくて……」
「え? 自主練って、なんで知ってるの?」
それ以上言葉が続かなくなる。しまった。毎日見ているから知っています、とは言えない。
「お、応援しているし。去年、地区予選で出場したの、凄いって思った、から」
必死で喋っていた。
「ええ? 出たの一瞬だったけど、覚えてくれてんの? つか、マジ嬉しぃ」
「覚えてるって! かっこ、良かったし」
言いながら照れてしまう。好きな相手を褒めるのは、僕の気持ちがバレてしまいそうでドキドキする。
「うっわ。マジヤル気出る!」
ニカっと笑う琉翔からキラキラと輝きが出ているように見えた。
それから時々話すようになり、少しずつ琉翔が僕を意識し出したのが分かって。
「なんか、春樹が、好き、かも」
何事も直球タイプの琉翔は唐突に告白をしてきた。
驚きすぎて硬直した僕を真っすぐな琉翔の瞳が見つめていた。
僕の返事はもちろん「大好き」だ。
「俺らって、内緒の恋人、だな」
「それ、いいね」
二人で額をくっつけて笑い合った。ちょっとだけ、唇が触れた。互いにビクっとして、一気に顔が火照った。
すぐに額を離して、無言になる。
これはキスと言っていいのか分からない。事故だったかも、しれない。
だけど、僕の中では宝物のような一瞬だった。
そう言いふらしたくてウズウズする。もちろんそんなことを口に出せる訳がなく、実際は頬をニマニマさせるだけ。
ゲイってだけで少数派。それが、まさかの想いが通じるなんて! 信じられなくて幸せで。
けれど、高校男子の僕たちには、ここらが本当の大きな壁だったんだ。
だって、男性を好きになるって普通じゃないし、誰にも相談できないし。それがまさかの両想いだよ?
男性同士で恋人ってどうしたらいいのか。普通に男子高校生をしていた僕には、それを知る術がなかったんだ。
そんな手探りの僕らのBLを、ぜひ誰かに知って欲しい!
◇◇◇
僕の彼氏は本田琉翔。隣のクラスのサッカー部男子。琉翔は二年の夏にサッカー部のレギュラー入りした。三年が抜けたら絶対にレギュラーになりたいと言い、毎日自主練を頑張っていた。その姿がカッコよくて。
自分の目標にブレずに向かう姿を見ると胸がキュンキュンした。僕はそんな琉翔に恋をした。
こっそり見つめているだけで十分だったある日。
自主練をしていた琉翔のサッカーボールが僕の元に転がってきた。壁に向かって蹴っていたボールが変な跳ね方をしたのだ。
「悪い! ぶつからなかった?」
息を切らして僕に向かってくる琉翔があまりにカッコよくて心臓が止まりそうだった。
急な出来事に僕はややパニックになった。琉翔に返事が返せず、ボールを蹴り返した。
だけど力んでしまったのだろう。ボールが勢いをもって飛んだ。それを琉翔が足でキャッチする。
「わっ! サンキュ。てか、いい脚してんね」
太陽のように笑う琉翔が輝いている。僕は何故か恥ずかしくて隠れたくて。
せっかく声を掛けてくれたのに、返事ひとつ返せない自分の情けなさに涙が滲んだ。
琉翔はボールが足元に戻ったのに、動かずにじっとこちらを見ている。
――早く自主練に戻って! お願いだ!
見ていたことがバレたら大変だ。琉翔にときめいているなど、本人に知られたら気持ち悪いと避けられる。学校中の噂になるかもしれない。
どうにかして誤魔化すことはできないだろうか。
そんなことで頭がいっぱいになり立ち尽くした。
「なぁ、体調でも悪い?」
はっと気が付くと、琉翔がすぐそばまで来ている。
「なな、なんでも、ない!」
必死に声を出したけれど。琉翔は首を傾げてひょいっと僕の顔を覗き込んだ。
憧れの人の接近に心臓がバクバクと騒ぎだす。
「顔、赤いぞ。熱中症? ちょい座ったら?」
「いや、ゴメン! 自主練の邪魔するつもりなんてなくて……」
「え? 自主練って、なんで知ってるの?」
それ以上言葉が続かなくなる。しまった。毎日見ているから知っています、とは言えない。
「お、応援しているし。去年、地区予選で出場したの、凄いって思った、から」
必死で喋っていた。
「ええ? 出たの一瞬だったけど、覚えてくれてんの? つか、マジ嬉しぃ」
「覚えてるって! かっこ、良かったし」
言いながら照れてしまう。好きな相手を褒めるのは、僕の気持ちがバレてしまいそうでドキドキする。
「うっわ。マジヤル気出る!」
ニカっと笑う琉翔からキラキラと輝きが出ているように見えた。
それから時々話すようになり、少しずつ琉翔が僕を意識し出したのが分かって。
「なんか、春樹が、好き、かも」
何事も直球タイプの琉翔は唐突に告白をしてきた。
驚きすぎて硬直した僕を真っすぐな琉翔の瞳が見つめていた。
僕の返事はもちろん「大好き」だ。
「俺らって、内緒の恋人、だな」
「それ、いいね」
二人で額をくっつけて笑い合った。ちょっとだけ、唇が触れた。互いにビクっとして、一気に顔が火照った。
すぐに額を離して、無言になる。
これはキスと言っていいのか分からない。事故だったかも、しれない。
だけど、僕の中では宝物のような一瞬だった。



