「…………………………」
「あれ? 終わっちゃった……まだ続きがあるはずなのに……」
少女は戸惑った後、諦めて鎌で珠をどける。珠は相変わらず黒く染まってしまったようだ。
「……小説書いてたの、覚えてる。でも、具体的に何を書いたのかは思い出せない」
私はまた、少女に記憶のことを話していく。なぜかこうしないと気が済まないから。
記憶が蘇っていく感覚——過去を見ていくこの感覚は、とてもふわふわとしていて、不思議で、言葉にできない痛みがある。まるで神様が、忘れるなと忠告するような、でも早く消してしまいたいような。
この先で何が待っているのか、断片的だが思い出せることがいくつかある。
「そこまでしか思い出せてないのか……」
腕を組み、原因を探るような少女。そんなに深刻なことなのだろうか。
「……次の記憶にあるのかな」
いつの間にかまた現れている、淡い珠。またしても青味を帯びているが、深くまで根を張るその色は、目を背けたいほどの寂寥感や悲痛な想いを感じる。
「……触れなきゃだめなの……?」
「うん……君には、思い出してもらわないと気が済まない」
気が済まないって……しなくてもいいことを、あの子の自己満足でやらされてるの……?
彼女は触れろとは言いつつ、促すたび、戻ってくるたび、苦しそうに胸を押さえている。私だってこんなことしたくない。そんな想いを必死に抑えているように、私には思えてならない。
私は珠に触れる。すでに冷たかったのにも関わらず次第に温度が奪われていく。
冷たさのあまり、手が痛い。意識が曖昧になっていく中、手に走る痛みだけは、消えてくれなかった。
「あれ? 終わっちゃった……まだ続きがあるはずなのに……」
少女は戸惑った後、諦めて鎌で珠をどける。珠は相変わらず黒く染まってしまったようだ。
「……小説書いてたの、覚えてる。でも、具体的に何を書いたのかは思い出せない」
私はまた、少女に記憶のことを話していく。なぜかこうしないと気が済まないから。
記憶が蘇っていく感覚——過去を見ていくこの感覚は、とてもふわふわとしていて、不思議で、言葉にできない痛みがある。まるで神様が、忘れるなと忠告するような、でも早く消してしまいたいような。
この先で何が待っているのか、断片的だが思い出せることがいくつかある。
「そこまでしか思い出せてないのか……」
腕を組み、原因を探るような少女。そんなに深刻なことなのだろうか。
「……次の記憶にあるのかな」
いつの間にかまた現れている、淡い珠。またしても青味を帯びているが、深くまで根を張るその色は、目を背けたいほどの寂寥感や悲痛な想いを感じる。
「……触れなきゃだめなの……?」
「うん……君には、思い出してもらわないと気が済まない」
気が済まないって……しなくてもいいことを、あの子の自己満足でやらされてるの……?
彼女は触れろとは言いつつ、促すたび、戻ってくるたび、苦しそうに胸を押さえている。私だってこんなことしたくない。そんな想いを必死に抑えているように、私には思えてならない。
私は珠に触れる。すでに冷たかったのにも関わらず次第に温度が奪われていく。
冷たさのあまり、手が痛い。意識が曖昧になっていく中、手に走る痛みだけは、消えてくれなかった。



