「……アリヴィオ……アリィ……」
すぐ隣で座りこんでしまっている少女。苦しそうに息を荒げているのは、私の記憶を一緒に見たからだろう。
でも、私の声を聴いて、すぐに顔を上げた。今にも泣きだしそうな瞳。
鎌を両手で持って、ぶら下がったキーホルダーを見せてくれる。そこに確かに、アリィと記されている。この名前は私がつけた愛称のようなもので、作中では「アリヴィオ」としか登場しないはず。知っているのは、私だけ。
——黒く塗りつぶされていたのは、創った私が忘れていたから……?
「咲九夜が与えてくれた名前。咲九夜が、私のことを創ってくれたの、思い出した?」
自分の過去を思い出して、どっと何かが押し寄せてくる。
確かに目の前に、私が創り出した存在がある。
首をぶんぶん振って、彼女のことを確かめるように凝視する。
「アリィ……本当にアリィなの……?」
思わず手を取って、隅々まで触れる。
助けて。私のそんな想いから生まれた存在。
誰かに寄り添えるように、送り出してあげた存在。
こんなことってあるのだろうか。私が創った存在が、目の前に存在するなんて……。やっぱり、この空間は私が作り出した幻想なのかもしれない。
「言っておくけど、夢とかじゃないよ。私は確かに、死神としてここにいる」
「で、でも……おかしいよ……」
ぐっと私の瞳を見つめて、戸惑っている私の手をぎゅっと握ってくる。
彼女にだってわからない、本当に偶然——奇跡的なことなのだろう。
「咲九夜が私を創ってくれた時から、ずっと見てたよ。何もしてあげられないことが、すっごく悔しかった」
柔らかい眼差しで、唇と頬がひくひくと震えている。目尻に浮かぶ涙を見て、私まで目元に迫り上がってくる。
聞きたいこと、言いたいことが次々と頭に浮かんで、口をぱくぱくとしてしまう。黒いローブ、切り揃えられた綺麗な白髪、鎌に可愛らしい顔まで、これだけ見てきたのに思い出せなかった。私がそばにいてほしくて創りだした、かけがえのない存在。
声にしたい。でもできない。喉元まで来ているのに、なぜか上手く出てくれない。
私の方に、トンっと優しく重みがかかる。
「…………咲九夜、いろいろ話したいけど……次が最期」
最期……アリィの言葉を復唱する。鎌に片手を伸ばして、次の珠を私たちのもとへ持ってきた。
今度は今までと違って、白いうえに淡く光っている。
汚かったり、毒々しい色ではなく、優しくて、つい触れたくなってしまうような色をしている。
アリィが私の手の甲に、優しく手を添える。
「私がいるから、大丈夫だよ」
優しく微笑んでくれるアリィの手を、私はそっと握り返す。
もう一度死ぬのだろうか。記憶とはいえ、なんだか気持ち悪い。
ここから先のことを全く思い出せない。どう死んだのか、死ぬときは痛いのか……経験したはずなのに、本当になにも、わからない。
すぐ隣で座りこんでしまっている少女。苦しそうに息を荒げているのは、私の記憶を一緒に見たからだろう。
でも、私の声を聴いて、すぐに顔を上げた。今にも泣きだしそうな瞳。
鎌を両手で持って、ぶら下がったキーホルダーを見せてくれる。そこに確かに、アリィと記されている。この名前は私がつけた愛称のようなもので、作中では「アリヴィオ」としか登場しないはず。知っているのは、私だけ。
——黒く塗りつぶされていたのは、創った私が忘れていたから……?
「咲九夜が与えてくれた名前。咲九夜が、私のことを創ってくれたの、思い出した?」
自分の過去を思い出して、どっと何かが押し寄せてくる。
確かに目の前に、私が創り出した存在がある。
首をぶんぶん振って、彼女のことを確かめるように凝視する。
「アリィ……本当にアリィなの……?」
思わず手を取って、隅々まで触れる。
助けて。私のそんな想いから生まれた存在。
誰かに寄り添えるように、送り出してあげた存在。
こんなことってあるのだろうか。私が創った存在が、目の前に存在するなんて……。やっぱり、この空間は私が作り出した幻想なのかもしれない。
「言っておくけど、夢とかじゃないよ。私は確かに、死神としてここにいる」
「で、でも……おかしいよ……」
ぐっと私の瞳を見つめて、戸惑っている私の手をぎゅっと握ってくる。
彼女にだってわからない、本当に偶然——奇跡的なことなのだろう。
「咲九夜が私を創ってくれた時から、ずっと見てたよ。何もしてあげられないことが、すっごく悔しかった」
柔らかい眼差しで、唇と頬がひくひくと震えている。目尻に浮かぶ涙を見て、私まで目元に迫り上がってくる。
聞きたいこと、言いたいことが次々と頭に浮かんで、口をぱくぱくとしてしまう。黒いローブ、切り揃えられた綺麗な白髪、鎌に可愛らしい顔まで、これだけ見てきたのに思い出せなかった。私がそばにいてほしくて創りだした、かけがえのない存在。
声にしたい。でもできない。喉元まで来ているのに、なぜか上手く出てくれない。
私の方に、トンっと優しく重みがかかる。
「…………咲九夜、いろいろ話したいけど……次が最期」
最期……アリィの言葉を復唱する。鎌に片手を伸ばして、次の珠を私たちのもとへ持ってきた。
今度は今までと違って、白いうえに淡く光っている。
汚かったり、毒々しい色ではなく、優しくて、つい触れたくなってしまうような色をしている。
アリィが私の手の甲に、優しく手を添える。
「私がいるから、大丈夫だよ」
優しく微笑んでくれるアリィの手を、私はそっと握り返す。
もう一度死ぬのだろうか。記憶とはいえ、なんだか気持ち悪い。
ここから先のことを全く思い出せない。どう死んだのか、死ぬときは痛いのか……経験したはずなのに、本当になにも、わからない。



