独りぼっちの妖狐の娘は、一匹狼の龍神と結ばれる

(ゆき)さま!大変だったでしょう?さあ、座って座って」
「すみません……」
 龍城(りゅうじょう)家には、「今日は忙しくて人手が足りておらず、車で送ることができない」と伝えているらしい。
 ……しかも、龍城(りゅうじょう)家からの迎えの車も断ったらしい。
 迷惑はかけられない、と。
「寒かったでしょう?」
「いえ、大丈夫です……」
 昔からの癖だ。
 大丈夫です……。
 すみません……。
「そう?なら良いけれど……もうすぐ、(ひじり)さまがいらっしゃるから、待っててね」
「はい……」
 一人になる。
 私なんかに、龍城(りゅうじょう)さんの妻が務まるのだろうか。
 ネガティブなことを考えてしまう。
「来たか……」
「……龍城(りゅうじょう)さん」
「お前も、もう龍城(りゅうじょう)だろう?(ひじり)で良い」
(ひじり)、さま……」
 改めて見ると、とても美しい顔をしている。
「……お前には、これから、妖術の訓練に取り組んでもらう」
 妖術の訓練……。
「一年以内に妖術が使えるようにならなかった場合…………
離婚する」
 え……?
「俺とは離婚して、ここで使用人として働いてもらう」
 ……私は結局、使用人なんだ。
 だったら、最初から使用人として雇ってほしかった。
「言っておくが、俺はお前の才能を見込んで求婚した。お前自身に惹かれたわけではない。……すべては、龍城(りゅうじょう)家のためだ」
 ああ、そうか。
 やっぱり私は、誰にも愛されないんだ。
 この人も、私を愛してくれた訳じゃない。
 私を愛してくれる人は、いないんだ……。
「分かったな?」
「はい……」
 でも、私にはこの道しかない。
 私を愛してくれる人じゃないかもしれない。
 でも、それでも……。
 ここで生きるしかないんだ……。