「ほっくーん、起きろー」
耳元で鳴り響く、爽やかさ100%の目覚ましボイス。
経験上、僕が完全に覚醒するまで及川尚という男は絶対に引き下がらない。物心ついた頃からのルーティンであり、我が家の毎朝の風物詩だ。ちなみに僕の母さんはすでに起こすのを諦めており、「いつもありがとうねぇ」と尚に感謝の品(お菓子)を渡す側に回っている。
「学校遅れるって」
「……あと五分」
「その五分、一時間コースなんだよ」
次の瞬間、僕の部屋のカーテンが無慈悲に開けられ、容赦ない朝陽が顔面を直撃した。
僕は布団に深く潜り込み、もごも語で抗議の声をあげる。
「まぶしい……」
「起きろ」
「昨日ツチノコ見つけるのに忙しかった……」
「ツチノコはお前の睡眠時間を奪うほど重要なの?」
「絶対いる」
「いねぇよ」
いる。
日本にはまだ見つかっていない生物がたくさんいるんだ。ツチノコだけいないなんて、そんな都合の良い話があってたまるか。
「僕が捕まえて、尚に一億あげる」
「一億の出どころどこだよ。ほら、いいから早く着替えろ」
僕は布団から這い出ることなく、ぬっと「足だけ」を覗かせた。
「……何」
「ん」
「靴下?」
「ん」
「履かせろって?」
「ん」
「態度でけぇな。自分で履けるお手て、ちゃんとついてますよねー?」
「尚の方が早い」
「便利屋じゃねぇんだけど」
そう言って文句を盛大に垂れ流しながらも、尚は慣れた手つきでしゃがみ込み、僕の足にすぽっと靴下を履かせ始めた。
ほら見ろ、やっぱり尚の方が早い。
両足に靴下を無事装着され、僕はようやくのそのそと布団から這い出した。
耳元で鳴り響く、爽やかさ100%の目覚ましボイス。
経験上、僕が完全に覚醒するまで及川尚という男は絶対に引き下がらない。物心ついた頃からのルーティンであり、我が家の毎朝の風物詩だ。ちなみに僕の母さんはすでに起こすのを諦めており、「いつもありがとうねぇ」と尚に感謝の品(お菓子)を渡す側に回っている。
「学校遅れるって」
「……あと五分」
「その五分、一時間コースなんだよ」
次の瞬間、僕の部屋のカーテンが無慈悲に開けられ、容赦ない朝陽が顔面を直撃した。
僕は布団に深く潜り込み、もごも語で抗議の声をあげる。
「まぶしい……」
「起きろ」
「昨日ツチノコ見つけるのに忙しかった……」
「ツチノコはお前の睡眠時間を奪うほど重要なの?」
「絶対いる」
「いねぇよ」
いる。
日本にはまだ見つかっていない生物がたくさんいるんだ。ツチノコだけいないなんて、そんな都合の良い話があってたまるか。
「僕が捕まえて、尚に一億あげる」
「一億の出どころどこだよ。ほら、いいから早く着替えろ」
僕は布団から這い出ることなく、ぬっと「足だけ」を覗かせた。
「……何」
「ん」
「靴下?」
「ん」
「履かせろって?」
「ん」
「態度でけぇな。自分で履けるお手て、ちゃんとついてますよねー?」
「尚の方が早い」
「便利屋じゃねぇんだけど」
そう言って文句を盛大に垂れ流しながらも、尚は慣れた手つきでしゃがみ込み、僕の足にすぽっと靴下を履かせ始めた。
ほら見ろ、やっぱり尚の方が早い。
両足に靴下を無事装着され、僕はようやくのそのそと布団から這い出した。



